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「留年て、本当にあるんだね。」



ボソッと呟いた一言は誰に届くこともなくグランドへと消えた。

応援団長に名乗り出た浜田くんは田島くんたちと同じ9組で1つ上だった。
マンガの世界だけじゃないんだって口にだしたら、浜田くんに苦笑いされちゃった。
(ごめんなさい浜田くん!)



「桃ー!今日は右で投げてくれ!!!」

「はい!」



朝練最後のメニューはバッティング練習。
それのラストに必ず人の投げた球を打つ。
さっき田島くんに言われた”右で投げてくれ”っていうのは、打撃投手であるあたしの投げる腕の指定。
左で投げればコントロールの良い球(スクリューとか投げれます)、右で投げればスピードの速い球(今現在MAX125くらいだけど)(あ、これ榛名さんタイプだっ!)。
田島くんは速球を打ちたがるから、いつも右って頼まれるんだよね。













「千代ちゃん!ご飯炊けた!」

「よしっ!ちょっと早いけどオニギリ握っちゃおうか!」



5時集合21時解散の練習が始まってから、新しくオニギリ作りがマネジの仕事に追加された。



「あれ、エビテン2つ?」

「うん。田島くんが嬉しそうだった!」



オニギリの中身は、”最後の一汗”で決まるのだ。













「今日はジャングルジム氷オニだ。」

「うっし!葉山、オニ頼むぜー!!」

「はいっ!いーち、にー……」



氷オニは必ずあたしのオニから始まる。
氷った回数が少なかった人からオニギリの具が選べる。



「なー、今日葉山俺のこと狙いすぎじゃね?」

「………そう、かな?」

「なんだよ今の間!」

「てか、自分の犯した罪も忘れんのかクソレ」

「はあ?!」

「お前、昼にコイツが大事に取っておいたレモンティー全部飲んだじゃねーか!」

「…、クソレのくせに!」

「ははっ。その恨みを氷オニにぶつけたんだね!」











―そよ風は巡ってきた―
(水谷、明日は塩むすびだなー)
(それはいやぁぁー!!)


20110930 By星屑


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