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決別する気はさらさらなかった。
だって、大好きなんだもん。
西浦高校硬式野球部が発足して早2週間。
つまりあたしが野球部のマネジになって2週間が経つ。
迷子になってたどり着いた先が第二グラウンドで、たまたま落ちてた硬球を手にしてたら金網の向こうからモモカンがやってきて…。
(この先はご想像にお任せします。←)
時が経つのは早いなあーなんて考えながら外野を、ゴミという名の雑草と共に歩いてたら足元にボールが転がってきた。
(……あれ?)
あたりを見渡せばマウンド辺りで大きく手を振ってる田島くんが見えて、(投げろ。ってこと?)
思い切ってボールを投げてみた。
「ちょっと桃ちゃん?!どうして野球経験者ってこと言わなかったの?!」
さっき投げた球は、田島くんを通り越してホームに居た沖くんのグローブに収まった。
それを見たモモカンはあたりをベンチに呼ぶなり説教を始めた。
(怒られるの、苦手なんだけどなあ)
「いつまでやってたの?ポジションは?足速い?」
「う、あ、えっ、と、…よっ横浜のボーイズで、ピッチャーで、6秒4くら、い、です。」
なんだか片言になってしまったけど、質問には答えたからよしとしよう。
「外野からノーバンで返せるってことは、控えの時は外野、ライトかしら?」
そう言ってモモカンはあたしにグローブを渡した。
「ちょっと見させてね?阿部くーん、ちょっといーい?」
開いた口が塞がらないまま、あたしはそこに立ち尽くした。
―深海ブルーエゴイスト―
(阿部くんが驚いた顔してこっち見てる)
(てか、モモカンってひとの心読めるのかなあ?)
提供:スナイパー
2011.07.24
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