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二人を1つの色でまとめようとしないで。




「お母さん!桃、やきゅーしたいっ!」

「おれっ、さっかーがいい!」




昔から隼人と好きになるものは違った。
好きな色も好きな数字も、好きな遊びも。
仕舞いには習い事まで別々となってしまった。




「やってもいいけど、お母さんは一人しか居ないんだからね?どっちかにしかついて行けないわよ?」

「「やったあーー」」

「(こんな時だけ息ピッタリなんだから…)」




こうして、5年間ずっと一緒だったあたしたちは別々の道を進むこととなった。











「ただいま」

「お帰り姉ちゃん。兄ちゃんが部屋で待ってるよ」

「…わかった。」




いつもならスルーする話だけど、今日は隼人に借りがあるということで靴下を洗濯機に放って手を洗ってから自室に向かった。




「お帰り」

「ん。」




隼人が部屋に居る理由なんて特にないんだと思う。
ただ何となく、一人になりたくなかった。みたいな。




「……なあ、どうして野球なわけ?」

「…日本語なってないよ。」

「なんで俺達、いつも違うんだろうな」

「野球で1番になりたかったんだから。隼人はサッカーで1番になりたいんだから、いいじゃん。ちがくて。」




《双子なんだから一緒ねやればよかったのに!!》


水谷の言葉を思い出す。
きっとあたしがサッカーをやってれば、もしくは隼人が野球をやってれば、両親は楽であっただろうに。
だけどあたしたちは違った。やりたいことが。
いつだって葉山家の双子は、自ら見分けをつけていたんだ。
あたしたち、俺たち、一緒じゃないんだよ。









―誓いましょう、勝利を―
(…絶対レギュラーなってよね)
(ナメんなよ?すぐなってやっから!)


20110909
提供:魔女


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