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まだまだここは、夢の途中だから
(グローブ、グローブっと。)
学校に戻ってからまず、監督がみんなに、勝ち上がる為に何が欲しい?と言った。
そしたらすかさず阿部くんの手が挙がり、もう一人投手が欲しいと答え、今に至る。
三橋くんは他に投手をつくるのをかなり嫌がってた。
(マウンドをとられちゃうって思ったらしい)
けど、田島くんが背中に油性マジックで”1”を書いてくれたのがうれしかったみたい。
(お母さん見たらビックリだよね)
「桃ちゃんにはしばらく、沖くんと花井くんの指導をお願いするわ」
「よろしくね。」
「頼んだぞ。」
「はいっ!」
「じゃあ、まず…投げても、いい?」
「おう」
言葉で伝えるより見た方が良いだろうと思って田島くんの前に立った。
「田島くん!ストレート投げるけど、コントロール、悪いから、気をつけてっ!」
「( ? )うしっ!来い!」
グローブを足元に置いて、いつもとは逆の手で投げた。
「あれ、葉山って左利きだったよね?」
「うんっ。次は左だから、沖くん見ててね。」
まだ捕手は成り立てだから、111kmほどのストレートを放った。
「もしかしてお前、俺が右だから逆で…?」
「そのほうが、わかりやすいかな?って…」
次、どうぞ。と後退りして花井くんと交代した。
二人とも投手経験は浅いのに予想よりずっと枠内に入ってた。
これなら夏までに一人一試合投げられる気がする。
「花井くんは何か変化球をひとつ、沖くんはもっとスピードあげて本格的にピッチングをやって欲しいんだけど、」
いいかな?
そう聞いたら二人は頷いてくれた。
「桃ー!もっと速いの投げてー!」
「え?」
「俺は強い球を取りたいんだ。頼むよー!!」
「別に無理しなくていいんだぜ?」
「…投げる。見せつけてやるっ!」
あたしは投球板に足をかけ、思いっきり振りかぶった。
あの頃と変わらないフォームで。
―何かを越えて一歩進む―
(お前、負けず嫌いなんだな。)
(!!…投手みんな、そう、だよ!)
((野球になっと声デケェんだよな、葉山))
花井→桃→花井
2011/09/12
提供星屑
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