財前と幼なじみ
2012/04/23 15:38

名前はデフォで「岸田 奈緒」
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「ウチな、神奈川行くことになってん」
「昨日おばさんから聞いたわ。けど別に、」
「帰るつもりないんよ。もうずっと向こうにおる。」

泣くのを必死に堪えて、どうしても光に伝えたかったことを紡ぐ。
あたしが光を好きなことも、光があたしを好きなことも、知ってる。だけど今の関係を壊せなくて、お互い最後の一歩を踏み出せなかった。

「見送りはいらんから」
「…なんでや」
「行けなくなってまうの、目に見えてるやろ?…部長や先輩たちによろしゅうね」

あたしは何も言わずに、東京へ行くつもりだ。たとえ今から付き合うことになったって、距離に耐えられずあっという間に終わってしまうだろうから。
これが、光に思いを告げなかったあたしへの罰。時間はいつも自分の思うとおりに進むものではないのだ。

「…俺も、東京行くわ」
「は?」
「勉強して、東京の大学行く。そしたらそん時は…俺の気持ち、聞いてくれへん?」




「おーい!お前いつまで寝てんだよ!」
「いだっ!何すんねや切原!」
「ちょっと赤也!あんまり奈緒に悪戯しないでくれる?!」

懐かしい夢を見た。光に東京へ行くことを伝えた日のこと。
あれからというもの、光とは一切連絡を取ってない。同じ四天宝寺の友人や先輩とも全く。
あたしは生半可な気持ちで父親と大阪を出てきた訳じゃない。あたしは、この大学に行きたくてここに来たんだ。
だから、みんなのことはあまり思い出したくなかった。

「奈緒大丈夫?」
「もう慣れた。それより、なんでウチが二人の間歩かなアカンの?」
「別にいいだろ。次空きなんだからテニスコート行こうぜ!」
「って訳だから、またね!」

彼女は高校からの友人でテニス部のマネージャーだった。まあそのなごりもあってか、今は切原の彼女やってます。そのわりにカップルっぽいとこ見たことないけど。

「テニスコートってこんなとこにあったんか」
「大学は広いからなかなか見つからねぇよなー入学してまだ二ヶ月だし!」
「テニスコート来たんはええけど誰が相手するん?」
「相手なら…ほら!あそこ!」

赤也の叫び声が聞こえたのか、もう既にコートに居た二人がこちらへやって来た。
この人に会って、あたしの人生の歯車はまたグルグルと回りはじめる。
光が中心に居た、あの時間が。

「まさか奈緒が青学やったとはなー」
「自分もまさか白石部長が青学に居るなんて思ってもみませんでした」

コートに居た人物は中学の頃大変お世話になった白石部長。
切原はもう一人の不二さんって人とラリーをしてもらってる。

「高校は何してたん?」
「ひたすらバイトしてましたわ。春から一人暮らしするために。」
「親父さんと一緒やないんか?」
「父親は今年からカナダなんで…元々決まってたんです」
「ほーか。まああれこれ言うつもりはあらへんけど…ひとつだけ、」

財前は自分との約束果たしに来てんで。



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いぎゃあよくわかんない(T-T)
解説すると、四天宝寺中⇒立海大附属高校⇒青春学園大学って順に進学。
そんで白石も青学に来てたよーってこと。
ダメだ、頭パンク!

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