あなたに白湯、を 鎌之介編
咲弥が風邪をこじらせたって聞いた。
お転婆で、はしゃぎ回ってるっていうあの咲弥が風邪。
あぁ、いいなぁ。
血みてえに顔が真っ赤になってんだろ?
うひょーっ、たまんねえ! こりゃ、行くっきゃねーだろ!
他のヤツに見つかんねーように気配を消して、行くぜー!
「咲弥、いるか?!」
「あぁぅ、うん……ちょうどいいところに……こっち、来てくれる?」
俺が思っている以上に、相当ダウンしてるようだった。
嘘みてえだ。二日前までは、昼寝していた俺の髪をいじって、クソ女と一緒に廊下を走ってたじゃねーか!
それなのに、何でだよ……。
騒がしいのが嫌だったってーのに、アンタがこうも弱弱しくて静かだとつまんねーんだ。
俺はこの気持ちを隠しながら、横になっているコイツの元に近寄った。
「ごめんね。それでね、白湯飲みたいから、体支えてほしいんだけど……いいかな?」
あったりめーだ。
それくらい、やってやらぁ。
その代わり――早く治せよ、バカ。
[12/03/10]
思ってた以上に短くなってしまった。鎌たん、ごめんね
[終]