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 まじないの花 07.共通


 真昼間、幸村様に呼び出された。
 部屋に伺えば、既に皆さんお揃いのようで――。

「来たか、咲弥。これで全員揃ったな。今宵は、宴会をしようと思う!」



 そんなこんなで、宴会という名の戦の火ぶたが落とされた。

「しゃーいぞお、大好き!」
「うわっ、いしゃにゃみ(伊佐那海)! 酒臭っ! こっち来んな、抱き着くんじゃねえ!」
「あっ、クソ女! 俺の才蔵に抱き着くな! はーなーれーろ!」
「うるしゃいなぁ、しゃいぞおはアタシの! えへへへ〜」
「ばっ、バカ! 顔近ェって!」
「じゃー、俺もー!」
「かまのしゅけ(鎌之介)! 便乗すんな!」
「そーよ、鎌ちゃーん。嫌がってりゅじゃない。才ちゃんはアタシがいいって、言ってんの!」
「は? ふざけんな! 才蔵はそんなこと一言も言ってねーよ」
「……オメエら、いい加減にしろよ!」
「あー、才たんが怒ったぁ〜」
「誰が才たん、だ! オイ、いしゃにゃみっ!!」
「キャー、逃げりょ〜」
「待て!」

 相変わらずの三人だ。
 伊佐那海と鎌之介が才蔵の取り合いだ。しかも、今回の伊佐那海は呂律が回らないほど酒に酔っていて性質が悪い。
「待てー!」「捕まえれるもんなら捕まえてみなしゃーい」と言って、走る二人は何所からどう見ても、追いかけっこをしているようにしか見えない。
 その後を、鎌之介が「俺も混ぜろ〜」と加わって三人で追いかけっこが始まる。
 そういえば、追いかけっこなんてあの頃も日常茶飯事だったっけ。

「しゃや(咲弥)! いっつも黙って見てねえで、助けろ!」
「だって、面白いんだもん」
「面白いだと……? ふざけんじゃねえ! って、んだよさしゅけ(佐助)」
「しゃや、何も悪くない」
「あ? うっせえ!」
「我、本当のこと、言ったまで……」

 佐助がこうやって出てきて、またここで言い合いになるのもいつものこと。

「んだと? コラ」
「才蔵……阿呆隠馬鹿蔵っ……ククッ」
「あん? 誰が“阿呆隠馬鹿蔵”だ! 勝手に変な名前に変えんじゃねえ!」
「我、ナイスネーミング」
(私もそう思う。佐助に座布団三枚!)

 で、収拾がつかなくなり、幸村様がいつもこの二人を止めるのです。

「やめんか、皆。せっかくの宴が台無しだぞ? ぶっ……っと、にしても佐助、いい名前付けたな……っがはははは!」

 佐助の“阿呆隠馬鹿蔵”にはまったみたいで、笑いをこらえきれていないけれど。



 私はというと、六郎やアナと一緒に、あの人達の寸劇もどきを楽しんでる。

「あの人達に寸劇でもやらせたら、大儲けできるんじゃない?」
「しゃや……」
「そうね。案外いけるんじゃない?」
「アニャ(アナ)まで……」
「ふふっ、じゃあ、私達は裏方ね!」

 一歩後ろから眺めてると、やっぱり、中身は全く変わってないんだなって。
 私達は互いの顔を見て笑い、盃に口を付けた。
 宴の夜は、まだまだ長くなりそうです。

[12/03/13]
今回は共通で台詞多め+ギャグに。才蔵ファンの方ごめんなさい orz

[終]



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