僕の最後の悪足掻き




「一週間でお前を惚れさせてやるよ」

最強のゲス野郎、花宮真にそう宣言されてから一週間。

「君みたいな人のことを好きになるわけないじゃないですか」

そう反抗するように宣言してから同じく一週間。


僕はとうとうその運命ともいえる7日目を迎え、花宮真にニヤニヤとした笑みで壁に押し付けられていた。

僕の片側の手首を抑え口角を歪る花宮くんは、不機嫌丸出しで視線を逸らした僕を楽しそうに見つめる。


「おい黒子ぉ、今日何の日か分かってるよなあ?」

「……僕が君に押し付けられている不愉快な日です」

「ふはっ、何だよそれ。不愉快はねーだろうが」

「十分不愉快です。今話していることさえ不愉快に思えます」


そう頬を膨らませて言えば頬を悪戯気な仕草でそれをつつかれて
更に睨めば彼はそれ以上に楽しそうに笑った。


「今日は例の7日目だぜ?返事を聞けないと帰れねーんだけど」

「……君なんて嫌いです」

「あー?聞こえねえよバァカ」

「……」

「…返事しろよ」

「……」

「…おいおいだんまりかよ」


やめろよそういうの、
そう言って僕を解放したその手で髪をかきあげると困ったように視線をうろつかせた。

それにも構わず相も変わらずの無表情でそっぽを向けば
ついに痺れを切らしたのか花宮くんは僕の手を奪い取るように掴むと自分の胸にその手を引き寄せた。


「…なにするんですか変態ですか」

「うるせーいいから黙ってろ」


花宮くんは先程と打って変わって不機嫌そうに眉をよせると
僕の掌を広げさせ、それを自分の胸に更に強く押し付けた。

言われるがまま何も言わずただじっとしてみる。


それと同時に掌を通して伝わる花宮くんの鼓動。

ドクドクとテンポよく脈打つそれは通常より何倍も早いリズムを刻んでいて
花宮くんが柄にもなく緊張しているのが分かった。

勢いよく顔を上げて彼を見ればどこか照れ臭そうな表情の彼と視線が交わった。


「…こっちだって緊張くらいしてんだよ…。それくらい察しろ、バァカ」

そう拗ねたようにいう花宮くんは、この7日間で一度も見たことがないような彼で、不覚にも『もっと彼の素顔がみたい』なんて思ってしまう。


けれど「返事くらいで手間かかせてんじゃねーよ」と毒づく彼に何となくイラつきを覚えて、再び彼から視線を逸らした。


「……君のこと、」

「…あ?」

「……別に嫌いではありません」

「…は?」


僕が少し遠回しに言うと花宮くんは不思議そうな顔を一瞬したかと思えば、
すぐに呆れたような表情になってため息混じりに笑った。


「好きくらい素直に言えよバァカ」


そう子供っぽく笑う花宮くんの言葉に「好きなんていいません」

そう呟いた言葉は彼に抱き締められて、
その肩口に溶けるように吸い込まれた。







(それはきっと、僕の最後の悪あがき)


End




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はふ様への相互記念の捧げ物です!
ほんとグダグダですみません…

少しでも花黒同盟のためになれば、と思います!


お持ち帰りははふ様のみでお願いします!








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