びゅうう、風が吹く。あああ寒い寒い寒い何でこんなに寒いんだろ!そう言えば冬だからだろって返された。だから私は、そんなこと分かってるよ。あーあ、つまんない答え!って言ってやった。するとまた真顔でつまんなくていいしって言われた。ほんとつまんない。
「私つまんないのきらい。」
ゲラゲラ笑いたいわけじゃないけど、一緒にいてもドキドキしないとか緊張しないとか楽しい!って思えないとか…そういうのってやっぱりいやだ。長く付き合ってれば仕方ないし、安心感や癒やしも欲しいし信頼関係を深めていくってのもいいとは思うけど。
やはり、マンネリ気味なのだ。片思いしてるときや付き合いたてのときと比べれば。
ちなみにマンネリとは"型にはまって新鮮味がなくなること"らしい。まさに今の私たち。
「ふーん…」
ほら反応薄い!全然こっち向いてくれないし、こんなに寒いのに自分一人ポケットに手入れっぱなしで繋いでくれないし。夏は離れてって言ってもベタベタくっついてきてたくせに…なにさ!
もう飽きた、とか私の魅力のなさが原因だったらどうしようもない。けどまだ諦めたくない。脱マンネリして……いちゃいちゃラブラブしたいの!とはなかなか言えない私だけど、たまには私からアプローチしてみようかな。
「ほんと寒いね、やっは手袋買うべきかな…でもなかなか制服に合う可愛いのがないんだよねえ。もう1月だし今更買うのもねー」
「お前って冷え症だっけ?大変だな〜」
大変だな〜じゃないでしょもう!ポケットに入れっぱなしのブン太の手をじっと睨む。届け、この思い!!
「分かったからそんな睨むなって、ほら、俺のポケットに招待してやるから!」
「えっ何これあったか!ってかカイロあるじゃない。あるんなら言ってよケチ。」
左手だけすごくあったかくなってく。お前手冷たすぎ、とか言われたけどブン太は手を握ってあっためてくれる。
ポケットの中で二人手を触れ合わせて、私たちの距離も近くなって、そのままキスをした。その後ぎゅうって痛いくらい抱きしめてくれた。ブン太の愛を感じて心まであったかくなる。
名前を呼ばれたから、顔の向きを変えたらおでこ同士くっつけられた。こつん、
「…今日俺ん家来ない?」
「え〜久しぶりにいい雰囲気だったのになんかやだ、そういうの。」
「お前も正直、人肌恋しくなってきてんだろぃ?」
まあ確かに最近ご無沙汰だし…ね。そういう流れになるかなってちょっと期待してたけどさ、そんなこと教えてはあげない。その変わりに、少し強く手を握った。
110105
企画Liraに提出させていただきました!せっかくの冬のよさが表現できず無念…精進します。