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Shoot-'em-up!


邀撃。混乱。撃滅。遁走。沈黙。制圧。


「ちっ······弾切れか」


フランキーが手持ちの武器を投げる。


「まだ結構、残ってやがんなァ」
「あいさつがわりだ。これで上等だっ」


サンジが銃を投げ、ゾロは砲を捨てて刀に持ち替える。


「さァ、やろうか」
『ったく、めんどうなんだから』


砲と銃を投げ捨てたカナとティアナが手に魔力を集中させる。
一斉射撃のあとは反撃にさらされることになった。
だが、彼らは激闘をくぐり抜けてきた〈麦わらの一味〉だ。

人造人間サイボーグのフランキーは、その鋼鉄の体を盾にした。ゾロは刀を回転させて銃弾をはじく。骨男のブルックは、鉛の弾もへっちゃらだ。


『“水竜の水の盾ウォーター・シールド”!』
「“炎竜の火炎弾”!」


ティアナの魔力で作られた水の盾に銃弾が吸い込まれていく。カナも炎の弾で鉛を焼きつくす。そしてルフィは、大きく息を吸って気球のようにふくらみ、みずから的になって、あえて集中攻撃を受けた。


「効か〜〜〜ん!」


ゴム人間には、銃弾無効。風船のおなかにくいこませて弾丸をはねかえす得意の技で、反撃する。敵は、たちまち撃った弾の数だけ負傷者を出した。

ガンパウダーの焦げついた臭いが充満する。

三百畳の広間は、負傷した海賊たちで埋め尽くされていく。
〈麦わらの一味〉の十人は、コートやジャケットを脱いで身軽になった。


「ウソップ!チョッパー!ナミを捜せ!」


ルフィが指示した。


「おう、わかった!」


ひとりだけ鎧兜を着こんで守り万全のウソップが、チョッパーとともに主戦場を離脱した。
広間では火災が発生していた。襖が、柱が、煙を上げて燃え上がっている。


「てめェら······あの、はねっかえりを討てェ!みな殺しだァ!」


面目をなくした海賊の船長たちが、抜刀し、残った配下に号令する。


「シキの親分!奥の部屋へ」
「ああ······」


瞠目し、怒りに身をまかせながら、シキは、自分が手を下すまでもないと、この場はいったん退こうとした。チラリとティアナを一目みて踵を返す。
それを見たルフィは、立ちふさがった海賊たちの銃撃をものともせず、金屏風のむこうに消えたシキを追いつめようとする。


「うわっ!?見えねェ?」


数人の海賊が、目を塞がれてうろたえた。
ロビンだった。『ハナハナの実』の能力で、数十の手を「咲かせて」海賊たちの視界を封じた。


「頭を討ち取れっ!」


ロビンの手をのがれて、ルフィに斬りかかった海賊たちを、今度はブルックが阻む。


「“眠り歌・フラン”」


音楽家はバイオリンの音色で人を眠らせることができた。ガイコツ男の子守歌を聴かされた海賊たちは、その場でカクーンと居眠りをはじめた。


「くそっ!怯むなっ!」


それを見ていた他の海賊たちがルフィに向かっていく。


「“炎竜の炎の竜巻フレイム・トルネード”!」


カナの口から放たれた炎の竜巻が次々と海賊たちを風圧で浮き上がらせて何十度もの熱風で火傷を負わせていく。
仲間のサポートを受けて、ルフィは逃げるシキに追いすがる。


「おれの仲間に······!なんかしたのかァ〜〜〜!」


ルフィは殴りかかった。
虚を衝かれたシキは、ふりかえりざまにゴムゴムパンチの痛打を顎にくらった。


「親分!」


部下たちの前で、シキの体がふき飛んだ。
だが、シキは、カッと目を見開いてこらえると、『フワフワの実』の能力で、そのまま舞い上がって奥の部屋へと飛んで行った。


「待てェ!」
「行かせるか!」


ルフィの前に現れる海賊の船長たち。


『“水竜の咆哮”!』


横から現れた大量の水が一気に目の前の海賊たちを退けた。水の勢いに押し負かされた船長たちが壁にぶちあたっていく。


『目の前にいるからよ』


舞うように銀髪を揺らして、一味の歌姫が船長をチラリと見る。交錯する黒と桜色。視線だけで意志疎通をするふたり。「行って」と桜色の瞳が告げる。
それに頷いて追いかけるルフィの前にはピエロ男が立ちはだかった。
Dr.インディゴが手にした仕込み杖の剣がルフィの眼前に迫る。


ガキィ───ィイン!


「!?」
「船長の······ジャマすんな!」


駆けつけた緑髪の剣士がDr.インディゴの剣を受けているあいだに、ルフィは走り抜けた。
次に立ちはだかったのは巨漢のゴリラ男───スカーレットだ。両手を広げて廊下で通せんぼをしたところを、その脇腹に強烈な蹴りが襲いかかり、巨体をのけぞらせた。


「ゴボ〜〜〜ッ!」
「道を開けろって······いってんだよォ!」


サンジとスカーレットが相対する。
奮戦する仲間たちを信じ、ルフィは広間をあとにして〈金獅子のシキ〉を追った。
ルフィの姿を見送ったティアナの体を魔力で作られた水の竜が囲む。


(ルフィ······信じてるよ)




ルフィは頭の中で右目がガーゼで覆い隠されたティアナの姿を思い浮かべた。

───おれの好きな桜色を傷つけたのはアイツだ。これ以上、ティアナに手出しはさせねェ。


「絶対に······!」


逃がしはしない。ぶっ倒す。



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