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コナンたちのテーブルにワインやジュースの入ったグラスが置かれると、小五郎が「では」と自分のワイングラスを取り上げた。


「飲み物もそろったところで······」
「あ、わたしにやらせて。おじさま」


小五郎に代わって乾杯の音頭を取ることになった園子は、立ち上がってジュースの入ったグラスを掲げた。


「それでは、今回の楽しいクルーズと······それから、蘭の関東大会での優勝を祝して」
「え?」


驚いている蘭を、子どもたちや阿笠博士は「え!?」「ほぉ〜」とのぞき込む。
灰原は蘭を見ているコナンと花恋をチラリと見た。


「カンパーイ!」
「「「「カンパーイ!」」」」


園子に続いて一同はグラスを上げ、美波子は隣の蘭にグラスを向けてフフッと微笑んだ。
蘭は「どうも」と恥ずかしそうにお礼を言うと、園子を振り返った。


「もぉ〜、園子ったら」
「エヘヘ」


すると、前に座っていた歩美が「ねえねえ、蘭お姉さん」と声をかけてきた


「空手の大会で優勝するなんてスゴイね!」
「しかも関東大会ですよ!」
「スゲーな!スゲー、スゲー!!」


子どもたちが向ける尊敬の眼差しに、蘭はアハハ…と照れ笑いをした。


「で?蓮華と工藤君から何かお祝いしてもらった?」
「え?ああ······」


園子に聞かれた蘭は前に向き直り、不満そうに口をとがらせた。


「電話で話したら蓮華は『へぇ〜、すごいじゃん』で新一は『そうか、よかったな』って······」
「え?それだけ?」
「どうせ事件の調査とかで忙しいんでしょ、あの推理オタク共」


蘭のトゲのある言葉に、コナンと花恋はハハ···と苦笑いした。


((コナンと花恋で『おめでとう』って死ぬほど言った後だったしな/だったし······))


***


「あ〜、食った食った!」


メインディッシュの皿をウェイトレスが下げると、園子は満足そうにお腹を押さえた。
子どもたちも嬉しそうに顔を見合わせる。


「おいしかったね、ステーキ!」
「毎日でも食べたいですね!」
「次はデザートだな!」


すると突然、日下が左手で額を押さえてうつむき、それに隣の阿笠博士が気づいた。


「ん?どうしました?」
「何か······船に酔っちゃったみたいで······」


日下が答えると、隣の小五郎が顔を真っ赤にしながら「いやぁ〜」とワイングラスを掲げた。


「俺もすっかり酔っちゃって」
「お父さんはお酒の飲みすぎ!」
「蘭ちゃん、キビシ〜!」


一本取られたと頭をかく小五郎に、蘭は「もぉ〜」と腕組みをした。
隣の美波子がフフッと笑う。


「面白いお父さんね」
「いえ、ただの酔っ払いオヤジです」


蘭が苦笑いすると、日下は「すみません」と立ち上がった。


「失礼して俺、部屋に戻って休みます」
「大丈夫かね?」


阿笠博士が心配そうに見つめる。


「部屋に薬があるんで······じゃあ」


日下は軽く手を振り、小五郎たちの後ろを通った。


「お大事に〜!」


完全に酔っ払っている小五郎がワイングラスを掲げ、コナンと花恋は去っていく日下を目で追った。


***


ディナーパーティーが終わり、コナンたち一同はエレベーターで客室のある五階に戻った。


「ちょっとお父さん!本当に大丈夫なの!?」
「ウ〜〜ィ······毛利小五郎、らいじょうぶでありやす!」


ベロンベロンに酔っ払った小五郎は阿笠博士に支えられてようやく立っている状態で、蘭はハァ···と大きなため息をついた。


「大丈夫だよ、蘭姉ちゃん。後はベッドに寝かせるだけだから」
「ごめんね······じゃあコナン君、お父さんのことお願いね」
「うん」
「博士もすいません」
「あぁ、かまわんよ」
「かまわん、かまわん。おやすみ蘭ちゃ〜ん」


真っ赤な顔で手を振る小五郎に、蘭はガックリと肩を落として息をついた。
それから女性一同が自分たちの客室に向かい、コナンたちとは別れた。


***


客室に戻った灰原と花恋は部屋着に着替え、バスタブに湯を張った。


「あら······」
『ん······?』


バスルームから出てくると、いつの間にか元太と光彦が来ていて、歩美と一緒に応接セットに座っていた。


「お〜」
「おじゃましてます」
「何やってるの、みんなそろって」
「蘭さんに優勝のお祝いに何かプレゼントしようって話になったんですよ!」


灰原と花恋が歩み寄ると、テーブルの上に大小さまざまな貝殻が置かれていた。

『これは?』
「きれいでしょう?昼間寄った島で拾ってきたんですよ!」
「これで金メダル作ってプレゼントするんだぜ!」
「蓮華お姉さんと新一お兄さんから何ももらえないなんて、かわいそうでしょ?」


灰原は「へぇ······」と貝殻を見ながら横目で花恋を見る。
花恋は灰原の視線に気づき気まずそうに視線をそらした。


「頑張ってね。私、お風呂入るから」
「お、お風呂ですか!?」


光彦が頬を赤くしながら言うと、灰原は「何?」と振り返った。


「一緒に入りたいの?」
「え!?あ、いえ······そんな······」
『哀·········』


ゆでたまごのように顔を真っ赤にした光彦はズルズルとソファに沈んでいった。
それを見た花恋はため息をついて頭を抱えた。
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