窓の外を眺める。

視界に映りこむのは鮮やかなオレンジ。

温かくて、どこか寂しげな橙色。

十月に入った途端、あんなに厳しかった残暑は姿を消して、足早に冬が近付いた。

今年の秋はきっと短いだろう。

長戸は淡い感慨に耽りながら、身体の表面を撫ぜて行く英語教師の拙い音読をBGMにしていた。

冬は好きじゃない。

灰色がかった空も、痛々しい空気も。

あらゆる生き物からやる気だとか生命力だとかを根こそぎ奪ってしまう気がする。

どうして今年は秋が短いのだ。

これだから温暖化は嫌だ。

夏が暑ければ暑いほど次の季節は短くなると言う説に、知らず眉間にシワが寄った。

虚空に踊る真っ赤な楓が、退屈な授業に参加している長戸に、秋の短命を教えてくれた。




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