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片手で恐鬼妃の腕を一まとめに掴むと、もう一方の手で帯締めを引き抜いた。
ブラックの意図に気付いたのか、恐鬼妃の顔から血の気が引く。
「ま、待って、やめて」
「何をです」
「なにって……」
「あなたの腕を縛り上げることですか。それとも、この先のこと？」
「っ！」
真紅の瞳を覗き込み、唇が触れるほど近くで囁いた。
恐鬼妃の震える呼気が、肌に触れる。
ブラックは彼女の華奢な手首を後ろ手にすると、素早く帯締めで拘束した。
そうして脚を割り開くように内股へ膝を捻じ込んだ。
「ブラック、何考えてるの！ やめて、解いて！」
「オレが何を考えているのか、当てることが出来たら解いて差し上げます」
「馬鹿なこと言わないでよっ」
「残念。それでは解くことは出来ません」
無慈悲な返答を耳に吹き込めば、抱え込んだ身体がビクリッと反応を示した。
恐鬼妃の首筋に唇を押し当て、味わうかのように舌を這わせる。
滑らかな舌触りと劣情を誘う甘さに眩暈がしそうだ。
着物の合わせ目に指を引っかけ左右に開けば、目に眩しいほど白い双肩が露わになった。
帯はそのまま、胸元まで着物を下ろしたことで、恐鬼妃の動きはさらに制限されたことだろう。
鎖骨の下の平らかな部分に掌を寄せれば、腕の中の女はカッと頬を紅潮させた。
「ブラック……今すぐ紐を解きなさい」
「主人様のご命令と言えど従いかねます」
「自分がなにをやっているか分かってるの？」
「えぇ、もちろん。オレは主人様に教えて差し上げているのです」
――オレの独占欲が凶悪なことを
ブラックはそっと顔を伏せると、深い切れ込みを作る豊かな胸元に口づけた。
強く吸い付き、皮膚を苛める。
「っ！」
「主人様はオレを想ってクァールを呼ぼうとしたのでしょう。それがどれほど、オレの心を踏みにじる行為だったのか」
下肢の合わせからそっと手を差し込み、太腿を撫で上げる。
弾力のある感触が掌を楽しませ、ブラックは熱い吐息で恐鬼妃の肌を焼いた。
「ねぇ、主人様。あなたの仕事を手伝うのは、オレだけでしょう。オレがいれば十分でしょう。オレしかいらないでしょう」
「ブラック……んっ」
「オレだけが、欲しいでしょう」
己の胸の痛みを伝えるように、ブラックは女の心臓に爪を立てた。
まろやかな乳房が押し潰され、口づけの名残とは異なる赤い三日月が皮膚に刻まれる。
「いっ……ぁ」
恐鬼妃の小さな悲鳴に鼓膜を愛撫され、ブラックは愉悦の笑みを抑えきれなかった。
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