慌てて顔をそらす。

危ない。

直視なんかしたら、ヤバいんだよ。

お前。

ふぅ、とため息が落ちて、処置の終わりを知る。

「………」
「………」

体育に戻らなきゃ。

分かってる。

けど、なんだよ。

なんなんだ。

オレ。

くそっ。

「……戻る」

絶対に目を合わせないまま、オレは椅子から立ち上がった。

「おい」

背後から声が追いかけて来る。

やめろよ。

「また、何かあったら来いよ」

やめろって。

返事をすることもせず、乱暴にドアを開けて保健室から逃げ出した。

やめろ。

知ってるんだ。

分かってるんだ。

お前がそう言うのは。

お前が優しくするのは。

オレだけじゃないってことくらい。

分かってるんだよ。

クソ保健医が。

だから。

オレを見るな。

勘違いしそうになる子供なオレを。

どうか見ないでくれ。


END.



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