彼もまた、自分と同じように通称だけの人間。

あれは『キザキ』だ。

あれは『キザキ』のジャンプだ。

仁志は確信していた。

だが、同時に否定してもいた。

光とキザキでは、明らかな違いがあるのだ。

男ながら色香を振りまくキザキ。

地味で根暗な容姿の光。

軽いノリで場を盛り上げていたキザキ。

何事も真剣に受け止め、間違いを素直に口にする光。

何もかも、二人は違い過ぎる。

けれど、別人と言うには似過ぎているのだ。

「どうなってんだよ……」

仁志は呆然とした面持ちで、地面に転がった転校生を目に入れ続けた。




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