「これに反応して、黒服が注文取りに来んだ。何を頼んだのかも全部データにされて、代金はまとめて引き落とされる」
「へぇ……すっごいハイテク」

仁志も同様にカードを通し、間もなく再び現れた黒服に注文をすれば、少しと待たずに料理が運ばれてきた。

ほかほかと湯気を上げる和食のメニューが二人分、テーブルに置かれる。

仁志は軽く手を合わせると、早速注文した日替わり御膳に箸をつけた。

「で、行事の内容って?」
「あぁ、そうだった」

光は焼き魚の身を解しつつ、目だけは対面に残していた。

味噌汁を一口飲んだ友人の一言。

「今月は『サバイバルゲーム』だ」
「はいっ!?」

丁寧に背骨を取っていたのに。

ボキッと中ほどで折れてしまったが、気にならない。

今、彼は何と言った?

凡そ学校行事としては相応しくないワードが、聞こえたと思うのだが、気のせいだろうか。

眼鏡に隠されて友人には分からないだろうけれど、光の目が驚愕に見張られる。

「いま、何て……?」

窺うように、ゆっくりと尋ねたこちらの心境を、相手はまるで知らないのだ。

そしてまた、慮る気もないのだ。

でなければ、飄々と言うわけがない。

「だぁから、サバイバルゲームだって」

なんて。

「嘘だっ!」
「なんでウソつく必要があんだよ」
「そんな怖い顔したって、信じないからなっ。学校がそんな物騒なこと企画するわけねぇじゃん」

むっと機嫌を悪くさせた仁志に怯まず、光は断固とした口調。

「うちは普通じゃねぇって、何度言わせんだよ。それに、心配しなくてもそんな危ないもんじゃない。使用するのはペイント弾だし、団体戦だ」
「笑顔で言われても……サバイバルゲームであることには、代わらないだろ」
「けっこう面白いぞ?」

どうして光が驚くのか疑問な仁志は、ケラケラと笑いながら箸を止めない。

怒りから笑いへの変化を五月蝿く思う余裕は、少年にはない。

サバイバルゲームって何だ。

どういうことだ。

「今から、殺し合いをしてもら……」
「違げぇっ!」
「じゃあ、一体どんなイベントなんだよ」

追求をしようとした光だったが、向かいの二つの瞳が鋭さを増して、食堂の入り口を見やったことで、残りの食事を高速で口に詰め込んだ。




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