木崎から渡された資料には、碌鳴のパンフレットも入っていた。

隣県に幼稚舎を初めとする各施設があり、いずれも全寮制で男子校だ。

思春期真っ盛りの健康な男子を、女性と隔離するのは如何なものか、と思ったのでよく覚えている。

今更なことを、何を秘密ごとのように言っているんだと、光は胡乱気な顔をした。

対する仁志は、上手く伝わっていない事実に苛立ったように軽く舌を打つ。

「あのな、お前のために言葉を選んでやってたら、いつまで経っても分かんねぇままだと思うから、率直に言うぞ」
「初めからそうしてくれって」
「……いいか、うちの学院は―――」

けれど、仁志の言葉が光の耳に入ることはなかった。

「ほら、席着けー。授業始めるぞ」

タイミング悪く、一時限目の教員が教材を手に声を張った。

「っのタコ。大事なとこで来やがって」
「悪い、仁志。また今度教えて」

結局彼が何を言いたいのかさっぱり分からないまま、光はスクールバッグから勉強道具一式を取り出した。




- 22 -



[*←] | [→#]
[back][bkm]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -