破裂と能面。




SIDE:仁志

騒がしく光について話をしていた生徒たちは、どうやら自分のファンであったらしく、少し脅してやれば簡単に転校生を見かけた場所を話してくれた。

真っ先に動きだしたのは、今回も生徒会長。

サバイバルゲームのときと同様、すぐさま走り出した穂積の背中を追った。

それでも完璧な人間という奴は、運動神経まで常人離れしているらしい。

スタートの差は埋められず、体育館の傍まで仁志が到達したときには、イベント中には施錠されているはずの体育倉庫が、開け放たれていた。

先に入っているであろう穂積に続き、倉庫の扉を潜る。

足を踏み入れて最初に気になったのは、咽返るような甘い匂い。

何かの香を焚き染めたのか、こっくりとした臭気が熱の篭った空間で嫌に鼻についた。

しかし、それも次のときには吹き飛んだ。

穂積に抱き起こされたのは、探していた友人。

彼の身に何かあったのではないかと、傍を離れていたことを後悔し続けた。

サバイバルゲームのときとまったく変わらない自分を情けなく思って。

だから、あの時よりもずっと強く光のことを心配して。

目に映ったのは、乱れた黒髪と、引き千切られて布切れになったシャツ、覗く素肌と赤く腫れた右の頬。

血が巡った。

頭に、手に、足に、全身に。

ドクドクと高速で熱い滾りは浸透して、自分の鼓動がやけに大きく聞こえた。

脈が極限まで早まって。

そして、切れた。




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テーマ「人外ファンタジー」
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