もう一方の手が、さして大きくもないコンテナの上に、細い体を寝かせる。

「あっ……手、手…冷た……やぁっ」

爪で引っ掛かれると、それまで柔らかった箇所が、ぷくんと腫れた。

零れる音色に気を良くした相手が、衣織の耳に噛り付く。

途端、ビクリと跳ねた若い肢体。

「すぐに熱くなるだろ」

耳朶を舐りながら吹き込まれた囁きは、艶やかな色が塗されていて。

カッと紅潮した頬を意識しながら、少年は細くしなやかな腕を男の後頭部に回して、短い髪を引っ張った。

「駄目……駄目だから……もっ、あぅっ」
「忘れろ」

拒絶などしなくていい。

どうせ聖夜の夢幻。

一時だけでも、恐怖を忘れるため。

少年の内側を脅かす悪夢から、しばし解放する行為を拒む必要など、何処にある。

「今は忘れろ、全部。何もかも」
「あっ……ぁあっ……っ」

外気に晒された素肌は、丹念に身体を探る男によって熱を失うこともなく。

抗いの指先が意思を失う。

鼓膜を打つ金属音は、ベルトが外される音。

すでに反応している昂ぶりに、男の口端が笑みを刻む。

ボトムを引き抜き、今はもう温かい手が膝を開く。

「やぁっ……ぁあっ」

羞恥から両腕を顔の前で交錯させ身を捩る衣織に、男はクスリと忍び笑いを漏らした。

「顔、隠すな」
「ゃ、だって……」
「腕外さねぇと、後悔するぞ」
「え……?んっ……あっ、ぁっ」

言うや、少年の切迫した声が上がった。

喉を反らせば、白く艶かしい首筋が男の前に露になる。

そこに浮かぶ動脈を牙で辿りながら、組み敷いた相手を追い詰める動きを早くした。

コンテナの上で跳ねる、少年の脚。

「あっ……も、もっ……」
「させねぇよ」

突然止まった男の手に、快感の階を昇っていた衣織は、朱色の散った面を隠す腕をビクリと揺らす。

「んっ……やぁ……っ」
「なら、顔見せろ」

嫌々と首を横に振る。

とてもじゃないが、今の自分を誰かに見せるだなんて。

それでも、下腹部で暴れる熱は出口を求めて、全身を痙攣させる。

催促するように緩く男の手が動き、望む刺激に衣織は背を弓なりにした。




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