SIDE:雪

残された雪は己の役目をまっとうすべく、残りの兵士を見回した。

数は二十ほどだろうか。

先ほどの攻撃で術者と分かってから、彼らは火器での攻撃に切り替えていた。

術師相手に距離を取ったところで、さしたる意味はないが、接近戦を仕掛けることで味方同士が固まるよりは良策と言えた。

吹雪のために視界が悪いからか、発射される銃弾はことごとく宙を横切り、雪を掠めることさえない。

時折、照準のあった弾丸が飛んで来るも、視認出来ない壁に阻まれ軌道をそれてしまう。

どう戦えばいいのかと、次第に追い詰められた形相に変化して行く敵兵の前で、雪の右手が淡い光を纏った。


「一ひらに集え」


銃声による喧騒のなか、言霊は低く厳かに響いた。

次の瞬間。

ドンッ!という爆音と、足元を揺らす衝撃。

術師を中心に、円状に雪柱が上がったのである。

まるで地面が爆発したように、白い柱は天に向かって吹き出していた。

耳障りな悲鳴が雪山を劈く。

激流に押し上げられ、四肢をはじけ飛ばされる者。

宙に投げだされ、大地に叩き付けられる者。

白銀に紅が散る。




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