不可視の招待状。




「あれ?おかしいな……」

手元のキーをカチカチと操作する大尉は、正面の無数にあるモニターの一角を、不審そうに見ていた。

まるで砂嵐にでもあったかのように、画面はザーと音を立て何も映さない。

イルビナ軍フロア1、モニタールームには数名の人間が詰めており、異変に気が付いた他の士官も怪訝な顔をする。

「壊れましたか?」
「いや、分からない……おい、B−32ってどこだ?」
「裏門だね」
「え?」

モニタールームを統括する大尉の声に、新人士官が口を開くより早く、聞きなれぬ声が答えを寄越した。

「壊れてるわけじゃない……誰か裏門に人を手配してくれる?」
「え、苑麗大将っ!?」

こんな場所に現れると、誰が予想出来たか。

騒然となる外野に構わず、火澄はモニターを緋色の眼で見つめると、クスリと小さな微笑を零した。

「待ってたよ―――雪=華真くん」




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