脳裏に浮かぶのは、眩い白銀の髪を持つ美貌の男。

唯一絶対の色を持つ、神秘的な男。

運命だと思った。

花突の守人を担う楼蘭族は、華真族に仕えるといってもその役目を真っ当出来る者は少ない。

大げさな理由があるわけでもなく、『廻る者』として華真族の人間がこの里に訪れる頻度が、百年に一度といった周期だからである。

どういった基準でやって来るかは知らないが、当然廻る者に出逢わぬ代もある。

仕えられるのは楼蘭にとって、この上ない名誉なのだ。

だから、まさか自分の代で廻る者がやって来るなど、露ほども思っていなかった。

気紛れな嵐に遭遇するなど誰が予想する。

けれど現れた。

伝承通りの銀髪と金色の双眸を持った、伝承以上に美しい人が。

あの時の衝撃は忘れない。

全身を駆け抜けた熱情。

これは運命なのだと。

花神様が下さった運命だと信じて疑わなかった。

それなのに。

青い瞳から、まるでその虹彩が流れたような雫が一筋、温もりのない地面に熱を与えた。




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