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かぁっと頬に血を上らせる衣織に意地の悪い笑みを刻むと、雪は躊躇いもせず手を濡らしたそれを舐め取った。

「な、何やってんだよあんたっ!!」

信じられない行動に起き上がろうとして、肩を押さえつけられる。

「吐け、吐き出せっ!」
「嫌だ」
「ほんと、ありえねぇ……っ!?」

呆れたように嘆息しようとしたのに、いきなり触れられた場所に息を呑んだ。

ゆるゆると入り口を擦る動きに歯噛みしたい気分になる。

男同士のやり方を知らないわけじゃない。

自慢じゃないが、そういう対象で見られることもままあった。

けれど、本番を迎えるとは誰が予想出来たか。

自分が放ったもので濡れた人差し指が、つぷりと潜り込んだ。

「っ……風呂、入りてぇんだけど……」

僅かな異物感に眉を寄せながら、今更な要求を口にする。

それくらいしなければ、雪が可哀想な気がしたのだ。

「水精霊を使役するか?」
「俺が悪かった、スイマセン」

即座に謝ると、雪が喉奥で忍び笑った。

エレメントを使われるだなんて冗談じゃない。

一体どんな趣向だ。

「あんた、なんか変態くせぇ……」
「よっぽど使役して欲しいらしいな」
「ごめんっ、俺が悪かった!もう言いませんっ!!」

こめかみをピクリと動かされて、ようやく自分の失言の愚かさを思い知った。

そんなやり取りをしている間に、内壁は異物の体積に慣れたようで、見計らったように内部の圧迫感が増やされる。

「っは……ぁ……っ」

水音が鼓膜を打つ恥ずかしさに身を捩りながら、少年は両手を男へと伸ばした。

「何だ?」
「あ、んたも……脱げって……」

一瞬きょとんと真顔になった雪は、苦い笑みを浮かべた。

室内ということでローブは纏っていなかったが、雪の体はしっかりと黒の上下に包まれている。

「忘れていた」

彼の指先が引き抜かれる感覚に膝を震わせると、宥めるように軽く口付けられる。

一気にシャツを脱ぎ捨てると、銀髪が暗闇に振り乱れた。

綺麗だと、素直に思った。

適度に筋肉のついた身体も、眩い白銀の髪も、胸元で煌く透明な水晶も。

この水晶は何なのだろう。




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