「仲間?」

衣織と居るせいで勘違いをされたようだ。

装填された弾はさっきの分を補充して7発。

対して敵の数は。

「三十くらい?」
「そんな所だろうな」

返事が返ってくるとは思っていなかったので、少し驚いた。

それから薄く笑うと、衣織は男に背を向け、鈍い瞳の山賊を見据えた。


「それじゃ、水晶の問題は生き残れたらってことでっ!」
「あぁ、ならお前の命はもらえるな」
「かかれぇっ!!」


荒れ狂う白の中、戦いは幕を開けた。

衣織は足場の悪さを物ともせず、風のような速さで正面の男に突進した。

「馬鹿がっ、切り刻んでやるっ!」

構えた大刀を大きく振りかぶった髭面の男に、衣織の言葉は聞えたかどうか。

「アンタの方が馬鹿だろ?」

無防備な懐に飛び込むと、その鳩尾に肘鉄を叩き込む。

「がっ……っ」

容赦の無い一撃の後、続けて手にした銃で顎を薙ぎ払った。

ゴッ、と言う鈍い響き。

骨の砕ける音。

痛みに地に伏す男を踏みつけ、衣織のすぐ真後ろに迫っていた男目掛けて回し蹴りを放つ。

背後を取ったことで油断していた新たな敵は、完璧に反応が遅れろくな防御も出来ずに脇腹に走った衝撃に目を剥いた。

両手で構えた銃を力一杯、相手の脳天目掛けて振り下ろす。

「ぐぁっ……!」

硬質な凶器で頭蓋を破壊され、手にした粗末な槍は役目を果たす前に主を失った。

二人目を倒したところで、衣織はバック転でその場を飛びのいた。




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