案内出来ぬ状況は、彼らにとって最大の罪だ。

それも、自分たちのせいで『廻る者』の役目を邪魔してしまったなんて。

無様な事態を露呈し、蘇次は両手で顔を覆った。

何と、罪深きことか。

「あの……さ」

黒髪の少年の声は、重苦しい雰囲気に満たされた応接室に、面白いほど大きく響いた。

二人の男に視線を向けられ、やや戸惑った風に苦笑した後、遠慮がちに言う。

「アンタら何やって王族とトラブってるんだ?どうにかして解決出来ねぇかな。……雪、どうしてもそこに行きたいんだろ?」
「……あぁ」

驚いたように目を丸くさせたまま、術師はコクンと頷いた。

衣織は安心したように息を吐くと、小さく微笑んだ。

「俺に出来ることなら協力するから、なんとかして入り込もう。な?」
「衣織……」

少年の言葉はあまりに意外で。

驚愕と同時に何とも言えぬ愛しさが内側を満たす。

この事態を理解などしていないだろうに、それでも力を貸すと言ってくれる彼。

少しだけ照れたように見上げてくる少年に、雪は優しい笑みを与えたのだった。




- 141 -



[*←] | [→#]
[back][bkm]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -