出会いU 3/4
ナーマエはそこでふと疑問に思う。ナルサスの口ぶりは、最初から自分が来るのを知っていたみたいな言い方だっだ。それをナルサスに尋ねると、彼はこう言った。
「国王から達しがあった」
ナルサスは続けて言う。
「日の兵士に会ったぞ。おぬしがかならずくると言っていた。殿下のご無事を知るとすぐに立ちさってしまったが」
それは間違いなく旅をともにした兵士のことで、ナーマエは驚いた。それとは別に彼女ははっとする。
「なんと、アルスラーン王子はご無事でいらっしゃるのですか!? 私は王子をおさがしして……」
そこまで言って、わずかに沈黙し、王子が無事ならば自分はこのふたりに言うべきことがある、そう彼女は思った。手にしていた水の杯を置き、ふたりに申し出た。
「ぶしつけだとは思います。でもおふたりの力を見込んで、ぜひ頼りたい」
「……なんだ? いってみろ」
ナルサスが淡白に言う。
「アルスラーン王子のお手伝いをすべく、私はここに参りました。けれど、あいにく武術をもたないので、敵の手がまわると自分の身を守れない……」
黙って聞いていたダリューンがこちらに目を向ける。
「だから、ナルサス、そしてダリューン卿。まずは王子のもとにおもむくため、お力を拝借したい」
ナーマエがそう言って頭をさげると、ダリューンはまばたきし、ナルサスはしげしげと彼女を眺めた。
「それは、承知しているが」
当然だといわんばかりにナルサスはそう言って、少し間をおいてから言葉を添えた。
「まあよいだろう。どのみちおれは、殿下につかえるにあたりおぬしを守ってやるつもりだった。かわりに役割を果たせよ。日の使者」
ナーマエが感謝の言葉を述べると、ナルサスは続けて「異論はないだろう」と、ダリューンに向けて言う。
「とるにたらんことだ。それがおのぞみとあるならば。しかしナルサス」
「そうだ。ナーマエ。おぬしはとんだ勘違いをしているぞ」
ナルサスがこちらを向き直ったとき、その顔はこれまでとは打って変わって真面目な顔をしていた。ナーマエはまばたきする。
「そのアルスラーン殿下なら、まずここにおられる」