わたしが第七班に配属されてから初任務である今日、集合場所に約束の二十分ほど前に赴くと、そこには既にサクラとナルトが来ていた


「なまえさん!」

「サクラー!」


わたしの存在に気が付いたサクラは手を振ってくる。わたしも笑顔で振り返した


「ナルト!早いね二人とも」

「そんなことないってばよ」

「ナルトったら今日はなまえさんが加わってから初の任務だ!ってはりきってるんですよー!もちろん私も」


ナルトやサクラがそんな風に思っていてくれていたなんて正直嬉しい。若干わたしだけかなあなんて思ってもいたりしたので、余計に嬉しい


「ありがとう。わたしも楽しみだったの」


わたしが言えばはにかんだような笑顔をくれる二人。なんだかすごく和む。最早、今から任務だってことすら忘れてしまいそうだ


「それにしてもカカシ先生ってば遅い!」


なのに、ナルトの一言によって一瞬で現実に引き戻される

全くカカシくんが遅刻をするなんて、昔のカカシくんが見たら激怒どころじゃ済まないでしょうね(考えただけでもぞっとする)


「カカシ先生といえば…、なまえさんこの間は大丈夫でしたか?」


思いがけない話題を振ってきたサクラに視線を向けるわたし
この間とは、先日のわたしが酔いつぶれてしまった、親睦会と称した食事のときのことを言ってるのだろう


「うん、特に体調に支障はなかったよ」

「聞きたいのはそこじゃなく…」

「え?」


それじゃあ一体なにを聞きたかったのだろう、サクラは
不思議に思ったわたしは首を傾げざるおえない


「カカシ先生の家に泊まったんですよね?」

「と、泊まっ…!?え、で、でもあれは不可抗力だし…」


わたしには全く意識がなかったわけだし、強制的に連れていかれたわけだし、泊まったことにはならないよね?ねえ、ならないよね?


「もしかしてなにかあったんですか?」


言葉とは裏腹になにやら楽しそうに話すサクラ。その半歩後ろには興味津々な表情のナルトがいる


「べ、べつになにもない、けど」


二人にとってはもう、なにを言っても言い訳にしか聞こえないかもしれない。しかし、なにもなかったのは本当だ。というか、なにかあってもわたし自身困る
まあ、なくはなかったが、この二人が考えているようなことではないはずなので、あえて伏せさせて頂くことにする


「怪し〜い」


いらずらっぽい瞳でわたしを覗き込むサクラとナルト
もう、この年頃は色恋にうるさいから困る。わたしのことよりも自分たちはどうなの?と思う今日この頃である


わたしが暫し返答に困っていると、空から声が振ってくる


「やーあ、悪いねお前たち。おばあさんが道に迷ってたのを助けてたら遅くなっちまった」


声のした方を見上げると、案の定カカシくんが飄々とした態度でそこにいた


「「はい嘘!」」


声を揃えていうサクラとナルトの姿を見て、わたしはなにかに引っ掛かる
数秒考えると答えはいとも簡単に導き出された

このやりとり、まるでオビトとカカシくんみたいだ。とはいっても、昔はカカシくんのポジションは逆なのだが
遅刻したときオビトはいつも、いまカカシくんが言ったみたいな言い訳をする
そして、それを“嘘”とばっさり切り捨てるカカシくん

それが、こんな形で再現されるとは


暫く傍観したあと、もう一度カカシくんの方に目を向けるとばちっと目が合った
するとカカシくんは、目を弓なりにして微笑んだ







(ああ、こんなにも君は変わったんだ)
(そう思うと自然に笑顔が溢れた)





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