いつものように待ち合わせ場所に遅れてやってきたカカシ先生は、私とナルトが揃っているのを確認したあと軽く一言を放った


「今から火影様のところに行く。なんでも俺たちの班に新しい仲間がくるらしいぞ」


そう言ったカカシ先生はどこか嬉しそうだった
しかし、それがどうしてなのか今はまだ分からなかった


「仲間?どんな奴だってばよ?」

「さあな。俺も詳しいことはまだ聞いてないのよ」

「えー?カカシ先生も知らないの?」

「まあそういうな、サクラ。火影様のところに行けばわかるさ」


そして三人連れ立って歩く火影邸までの道のり


「カカシ先生ってば俺たち急がなくていいのか?」


ふとナルトがつぶやく
たしかに、それは私も思っていたことだ。こんな悠長に歩いている場合?


「大丈夫、心配ないよ。どうせ話が長引いてるでしょ」

「…?」


さっきは詳しいことを知らないと言っていたカカシ先生だけど、それはまるでなにかを知っているような物言いだった
思わず私とナルトは目をあわせて首を傾げた

それ以上なにも聞けなかった私たちは沈黙を守って、ようやく火影邸に辿り着く


「カカシ先生、入らないんですか?」

「んー、やっぱりちょっと早かったみたいね」


カカシ先生の言葉の真意をいまいちつかめなかった私は耳をすませてみると、部屋の中からは綱手様と若い女の人の声が聞こえてくる

そしてなにやら信じられない怒鳴り声にも似た一言


「これが落ち着いていられますか!わたしがカカシくんを苦手なことご存知ですよね!?」


その一言にぎょっとした私は隣にいるカカシ先生の顔を見上げると、なにやらにやにやしている

き、気持ち悪い!
もしかしてカカシ先生ってマゾ?
どうしてそんなに嬉しそうなの?

つい思ったことを口にしそうになった刹那、綱手様の声も聞こえる


「ああ、知っている。でもお前とカカシは元々は同じ班の仲間だったじゃないか」


同じ、班?
そういえばちらっとだけカカシ先生のいた班の話を聞いたことがあったと思い出す。詳しくは知らない

またカカシ先生を見てみると、先程と変わらないにやにやした顔

というか、盗み聞きなんて趣味悪くない?

それに新しい仲間がくると先生は言っていたけど、嫌がってない?中の女の人
相当嫌われてるのね、カカシ先生って

可哀想。カカシ先生はきっと中の女の人が好きなのに

どうやら中の様子は依然として難航しているようである


暫く言い合いをしていたかと思えば長い沈黙。そして一言


「………わかりました」

「助かるよ。おい、お前たちも早く中に入ってこい!」


どうやら綱手様には私たちが既に扉の外に控えていたことなんてお見通しだったようだ

そして中に入ろうかどうか迷っていると、急に隣にいたカカシ先生の姿が消えた


「ちょ、カカシ先生!?」


一体なんなのよ、どうして目の前に扉があるのにわざわざ瞬身なんて使うの?

驚いた私とナルトもノックなんて忘れ、慌てて扉を開けて中に入る

そして目にしたものは、カカシ先生が女の人の腕を掴んでいる光景

その女の人は色が白くて、小柄で、女の私から見ても綺麗な人だった



(けれどその人は顔に似合わず毒舌だった)





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