ミナト班全員が中忍に昇格したばかりのころ、長期任務が言い渡された。ミナト先生から今から準備をして一時間後に集合と伝えられてわたしは急いで家に帰った。家に着くと任務に必要と思われるありとあらゆるものをホルスターやらポーチやらにしまいこむ。長期任務はこれが初めて。どんな任務なのか、内容はまだしらない。あっという間に準備を終えたわたしは、緊張のようなわくわくしたような気持ちで家を出た。集合場所である門の前に着くと、まだまだ時間までに二十分はあるはずなのにオビト以外のメンバーがそろっていた


「あれ、オビトはまだですか?」

「どうせまた遅刻だろ」


わたしとしてはミナト先生に問うたつもりだったのだが、なぜかカカシくんから不機嫌そうな声がもれてきた。わたしはカカシくんを一瞥した


「どうしてそんなに怒ってるの。まだ時間前でしょう」

「…別に」


険悪ムードなわたしたちを見ていたリンは少し慌てていた。ミナト先生はといえば、至って落ち着いた面持ちで佇んでいた。わたしだってカカシくんとこんな険悪になんかなりたくない。だってわたしはカカシくんが、


「いやー、すみません!おばあさんが困っていたのを放っておけなくて!」


絶妙というかなんというか、そんなタイミングでオビトが現れた。もはやお約束となっている言い訳を引っ提げて。わたしは特にそれが嫌いではないけれども、今のタイミングでだけは遠慮してもらいたかった。だってカカシくんがより不機嫌そうな表情になったから


「ん、それじゃ出発しようか。話はそれから」


わたしたち全員は“はい”と勢いよく応え、ミナト先生の後ろについた。門を出て木々の上をとんで移動するわたしたち。そんな中でミナト先生は今回の任務について説明してくれた。その内容はとある場所に封印されている秘術の書が無事か確認するというもの。わたしたちが知らなかっただけで、この任務はわりかし定期的に行われていたらしい。この封印術はミナト先生しか扱えないらしく、今回はわたしたちが中忍に昇格したというのもあって一緒に就かせてもらったのだそうだ


「恐らく戦闘はないだろうけど、気を抜いちゃ駄目だよ」

「特にオビトはね」


戦闘はないのか、それならば安心だと思ったのもつかの間、カカシくんが余計な一言をオビトに浴びせた。それによって別な戦闘になりそうな雰囲気にわたしはため息をつくしかなかった。本当にこの班はチームワークが最悪だと思った


「ミナト先生」


わたしが先生の名前を呼ぶと少し困ったような笑顔を返された。それはもうそっとしておこうという意味なのだろうか?ミナト先生がそういうのなら、と一瞬思いかけたが、どんどん戦闘モードに入ってゆくふたりを見て止めるしかなかった


「もうやめて!カカシくんもオビトを挑発しないで。オビトもオビト!そんな安い挑発にのらないで」


わたしが一気にまくし立てれば、やっとふたりは大人しくなった。普段はあまり怒ることがないと自負しているわたしの態度に多少なりとも驚いたのだろう。どちらにしろ、無駄な戦闘をやめさせたかったわたしは助かったのだけれども。そんなこんなでわたしたちは再び木々の上をとんで移動することとなった



(まだ任務は始まったばかり)






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