想いが通じてから一週間。ついにわたしが木の葉病院を退院する日がやってきた。この一週間、カカシくんは毎日わたしのお見舞いにきては、サクラやナルトに引かれるくらいのスキンシップをしてきた。二人の視線に何度逃げ出したいと思ったことか…。とにかく気まずかった
そして退院準備を進めている今でさえも、カカシくんはわたしにぴったりくっついている
「か、カカシくん…」
「なーに?」
「少し離れてくれる?準備出来ない」
「やだ」
カカシくんは考える素振りもなく、否定的な言葉を述べた。まあ、初めから素直に言うことを聞いてくれるとは思っていなかったが
「やっと想いが伝わったんだから、ちょっとくらいいいじゃない」
いや、ちょっとどころじゃないんですけど。この台詞は寸でのところで止めた。言うと余計ややこしくなって堂々巡りになるからだ。それをいいことにカカシくんは、なおもわたしにくっついている
「…」
「…わかーったよ」
わたしの離れてくれ目線に居たたまれなくなったのか、ようやくカカシくんは離れた。よかった、これで準備出来る。というか、急にデレすぎじゃないのカカシくん。…わたしも人のこと言えないけれど。とにかく、カカシくんが大人しくしてくれているうちに準備をせねば。そんな気持ちでわたしは荷物を整理し始める
「いっ…」
少し腕を伸ばしたら脇腹に走る鋭い傷み。いくら退院とは言えども、一応抜糸したてで完治したとは言い難い状況なので、多少の傷みは覚悟していたがやはり痛いものは痛い
「ほら、無理しないで。後は俺がやるから」
先程の少しふざけていた態度とは対称的に、真剣な顔をして言うカカシくんに不覚ながらときめいてしまうわたしがいたのも事実で。素直に頷くしかなかった
「ん、いい子だね」
目を弓なりにして笑うカカシくん。わたしはついつい我慢出来なくなって抱き付く
「…すき」
ああ、これじゃ本当にどっちがデレデレなのかわかったもんじゃない。でも仕方がないじゃない、好きなものは好きなんだから。なんて強がっても、ただの照れ隠しにしかならなくて
「俺はね、愛してる」
そう囁くとカカシくんはしっかり抱き締めてくれた。その言葉にわたしの心臓は破裂寸前だった。どうしてこうもカカシくんはわたしの弱い言葉を的確に出せるのだろうか。小さなことにひしひしと愛を感じたりして。もっと早く素直になってさえすれば、こんな幸せをいまよりも多く実感できたはずなのに。いまとなっては、意地を張っていた自分が馬鹿馬鹿しい
(わたしも、愛してる)
prev - next
back