妙にふわふわする意識の中、重い瞼を開けると白い天井。そして薬品の臭い。そのことからわたしは病院にいるのだと理解した。ここが本当に病院なら、わたし、助かったの?あまり力の入らない上半身を起こしてみようと試みると、脇腹が鋭い痛みを放った


「痛、い…」


駄目だ、起きられない。わたし、死ぬかと思ったのに奇跡だ。ふと左手に温もりを感じるのに気がついて、そちらに視線を向けてみると、わたしの手を握ったまま眠るカカシくんがいた


「…カカシくん」


わたしもそっと手のひらに力を込めて握ってみる。すると、意識を手放す前のわたしの発言を思い出して、顔が火照るのを感じた。あのときは本気で自分が死ぬと思って言ってしまったので、今更どんな顔をしてカカシくんに会えばいいのかわからない。かといって、ずっと目覚めないふりをするのも問題があるし。どうしたものか。悶々と考えていると、カカシくんが目を開けた


「なまえ…!?」

「お、おはよう?」


対策など考える暇なくカカシくんが起きてしまったおかげで、こんな間抜けなことしか言えなかった。そんな自分に呆れる


「…」


カカシくんは未だ固まっている。そんなカカシくんにわたしは、不謹慎ながらも笑いが込み上げてきた。だって、こんなカカシくんの顔レアだから。かと思えば、抱き締められた


「か、カカシくん?」


戸惑うわたしをよそにカカシくんは傷に差し支えない程度を気遣ってくれるように、なおも強く抱き締めた。まるで、わたしの存在を確かめるかのように


「よかった…」


力なく言うカカシくんにいとおしさがどうしようもなく込み上げてきて、わたしもカカシくんの背中に腕を回した



「なまえ」

「なに?」

「好き」


突然の告白に再び顔が火照るのを感じた。カカシくんがわたしを好き?まさかそんな、嘘でしょう?わたしはただただ嬉しくて、なにも言えなかった


「なまえは?」

「…好き。カカシくんのこと、いとおしくてたまらない」


わたしが言い終わるか終わらないかのうちに、カカシくんから口付けされた。それは角度を変えながら徐々に激しさを増してゆく。舌を入れられ、口内を犯される。あまりにも急すぎて、わたしはされるがままになるしかなかった。カカシくんの唇が離れる頃にはわたしは息を乱していた


「ずっと、こうしたかった」

「…ばか。一応わたし、病人なのよ?」


口ではこう言ったが、でも全然嫌じゃなかった。むしろ、嬉しくて嬉しくて。さっきのキスじゃ到底足りなくて



「じゃあ、もう一眠りしようか。俺が添い寝してあげる」


わたしは素直に頷いた。だってもっとカカシくんに触れたかったから。気持ちが通じた以上、我慢することもないだろう


「続きは元気になったらね?」

「…ばか」












(彼の匂いは落ち着くには充分で)





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