あれから俺は夢中で木の葉病院に走り続けた。そしてすぐに綱手様がやってきて、なまえは処置室に運び込まれた。あれからどのくらいの時間が経ったのだろう。未だ処置室の扉は開かれない。俺は祈るような気持ちで処置室を見守る。すると、ついに扉が開き、中から綱手様が出てきた


「何とか持ちこたえた」


持ちこたえた、つまりなまえは生きている。そう理解した時、張り詰めていた緊張が一気に解かれるのを感じた。ひたすら嬉しく思った


「今はもう大分安定した。後は目覚めるのを待つだけだ」

「ありがとう、ございます」

「なまえはよく頑張ったよ。勿論、お前もな」


俺は綱手様に深々と頭を下げた。本当によかった。なまえが生きていてくれて


「特別だ。なまえのところに行ってやれ」

「…はい!」


暫くは面会謝絶だろうと覚悟していたが、思わぬお許しに俺の頬が緩むのを感じた。俺は再度綱手様にお辞儀をすると、なまえの元へと急いだ。数時間振りに見たなまえの姿は、先程の苦しそうな表情とは打ってかわって安らかであった。そっとなまえの手を握ってみれば、ちゃんと温もりを感じることが出来て、半信半疑だった気持ちも確信に変わった


「よかったよ、なまえ。お前が生きていてくれて」


きっとまだ、俺の声は聞こえないだろうが、言わずにはいられなかった。病室の窓から見える夜空はあまりにも綺麗だ。この満天の空にお前の声が、響いてもいいような綺麗な夜だった







(早く目覚めて)
(そしてもう一度好きと言ってくれ)



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