俺が駆けつけると、そこには脇腹から大量の血を流しているなまえとかすり傷ひとつない大蛇丸の両名がいた。もっと早く来ていればこんなことにはならなかったはずなのに。大蛇丸に、何より自分に腹立だしさを感じた



「何だか萎えちゃったわ。此処は引いてあげる。また会いましょう。まあどうせなまえはもう長くはないだろうけど」


なまえはもう長くない?ふざけるな。なまえは死なない。いや、死なせない。死なせてたまるか


「黙れ!」

「じゃあね」


憎たらしいことに大蛇丸は騒然とこの場から消えた。出来ることならこの場で大蛇丸を殺してやりたかった。例え刺し違えたとしても。しかし、逃げられてしまってはどうにもならない。悔しさに拳を握りしめていると、後ろにいたなまえが地面に倒れた音がした


「なまえ…!」

「か、カカシくん…、き、てく、れてあり、が、と」

「馬鹿、しゃべるな!」


俺はなまえを抱き止めると走り出す。自分でも驚く程、切羽詰まったような声が出た。どこか焦点の合わないなまえの瞳を見て、目頭が熱くなるのを感じた


「わたしっ、ね、カカシ、くんに、言いた、いことが…」


なまえの傷口からは止めどなく血が流れてゆく。このままだときっとなまえは助からない。そんなの嫌だ。また、俺は大切な人を失うのか?もう何も、何もしゃべらないでくれなまえ。お願いだから


「わ、たし…カカ、シくん、のことっ、ずっ、と…す、き、だった、の」


すき?何なんだよ、こんな時に。馬鹿。何もこんな時に言うことないだろう。何故、何故今なんだ。俺の目から自然と涙がこぼれた。その涙がなまえの頬に落ちる。ああ、どうして。なまえは思う通りに動かないであろう腕を無理矢理あげ、俺の涙を拭き取った


「でも、ね、わた、し、は、もう、死ぬ、か、ら…だ、から。わたし、の、ことはっ、忘れ、て…幸せ、になって」


やめてくれ、それじゃ本当に最期みたいじゃないか。俺はなまえを手離したくない。やっと、やっとの両想いじゃないか。絶望的だと思ったのに。それなのに、なまえも俺を好いていてくれた。俺はまだ伝えてない。それなのに!


「馬鹿な事言うな!俺は、俺は!俺だって、なまえのことす」


俺に好きと言わせる間もなく、なまえの目は閉じられた。それと同時に俺の頬に触れていたなまえの腕が力なく落ちていった


「なまえ!なまえ、なまえ!」


動かないなまえを抱き締めたまま、俺は無我夢中で走り続ける。幸いまだ息はあったので、まだ間に合うはずだ。いや、間に合わせてみせる。そう誓うと、より一層スピードを上げる。もう少しだ。もう少しで木の葉に着くから。だから、








(死なないでくれ)



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