やっぱりあの嫌な予感は本物だったのだ。だってわたしの目の前にはあの大蛇丸がいる


「ここから先は一歩も通さない!」

「貴女は随分的外れなことを言ってるようね」


的外れ?どういうこと?大蛇丸の狙いは大名のはず。だとしたら、わたしの言っていることは的外れでもなんでもないはずだ


「私はね、光の国の大名なんてこれっぽっちも興味ないわ。あるのは貴女、なまえよ」

「わ、たし?」


一体なにを言っているのかさっぱり理解出来なかった。興味あるのはわたし?なんでなんで、どうして


「確か貴女は四代目火影の時空間忍術を受け継いでいる筈。私はそれが欲しいの」


大蛇丸の言う通り、わたしは時空間忍術を受け継いだ。でもそれはまだ完璧ではないし、狙われる理由もない


「だから私の元に来なさい」

「嫌よ」

「そう、じゃあ…殺すしか、ないわね」


一瞬でわたしは大蛇丸の蛇に身体を封じられてしまった。やはり、相手は伝説の三忍だけあって早い。本当にわたしは持ちこたえることが出来るの?


「くっ…」


蛇がわたしの身体をきりきりと締め付ける。早くなんとかしなければこのままお陀仏だ。それだけはなんとしても避けなければならない


「そうね、今のうちに言うことを聞いておけば死なずに済むわよ?」

「そ、んなの、死んで、もお断り…!」

「あらそう、じゃあ死になさい」

「死ん、でたまるかっ」


わたしはつい先程多重影分身を発動したときの一体に火遁を発動させ、蛇へ直撃させた。途端に解放されるわたしの身体。まだ圧迫感は残っているが、全然致命傷ではないだろう


「貴女も少しは成長したじゃない」


舌なめずりをしながら言う大蛇丸に心底鳥肌がたった。もうこうなったら逃げるが勝ち、だ。無理して今戦わなくとも、ここは無難に逃げた方が得策だ。それに、狙いはわたしだとわかった以上、そうした方がいいのは明白だった


「逃がさないわ。拒否した以上貴女は死ぬしかないの。草薙の剣!」


いよいよ不味いことになった。大蛇丸の十八番、草薙の剣が出てきてしまってはもう不味い。どうにか切られないようにしなければ


「風間手裏剣!」

「無駄よ。私の草薙の剣を前にしてはそんなもの役に立たない」


わたしの投げた風間手裏剣を大蛇丸はいとも簡単に避けると、距離を詰められた。しまった、そう思ったときには既に遅し。脇腹を切られた


「っ、」


傷に触れると、そこまで深くないとわかったが、惜しみもなく流れる血のせいで意識が遠退く。なんとか意識を保とうと下唇を噛み締める


「追いかけっこはもうお仕舞い。さあ、死になさい」


痛い、痛い。こんなところで死にたくない。わたしまだ、カカシくんになにも伝えてない!このまま死ぬなんて嫌だ。でももう、死しかわたしには道がない。わたしは目を閉じる







「雷切!」


もう駄目かと思い覚悟を決めたとき、聞きなれた、今一番聞きたかった、あの人の声が響いた


「か、カカシくん…」

「なまえ、遅くなってすまない」


久しく見たカカシくんは、写輪眼をさらけ出し眉間に皺を寄せていた。このまま意識を飛ばしそうになったが寸でのところで止めた








(まだ、まだ意識を失うわけにはいかない)






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