わたしたちが光の国へやってきたペースとは半分以下のスピードで歩いていた。このぶんだとあと三日はかかるだろう。しかし、彼女らは一般人なのだから仕方あるまい。それに、木の葉はもうだいぶ近いはずだ


そろそろ休憩を挟んだ方がいいかも、などと考えを巡らせていると、全身に鳥肌がたつような気配を感じた。このただならぬ雰囲気に、今の今まで離れていたテンゾウの元へと移動した


「テンゾウ、この気配…」


わたしが言うよりも早く、テンゾウは顔をしかめた。この気配の持ち主は一人しかいない。あいつしか、いない


「…大蛇丸」

「不味いことになりましたね」


本当だ。しかし、まだそんなに近くにはいないはずだ。今ならまだ逃げられる。テンゾウも同じ考えだったのか、頷いた


「俺は先頭にたちます。なまえ先輩は最後尾をお願いします」

「御意」


不味い、本当に不味いことになった。木の葉まではまだまだあと三日はかかるというのに。急がねば。大蛇丸に見つかったら一貫の終わりだ。わたしとテンゾウでは、光の国の者を護りながら大蛇丸とやり合うなど限りなく不可能に近い。どうする?どうすればいい?大蛇丸の狙いはなに?光の国の大名?それとも…


おちおち歩いてなどいてはすぐに大蛇丸に見つかってしまうと考えたわたしは、多重影分身を発動する。そして失礼ながら光の国の者たちを抱えさせて頂く


「なまえ先輩、一体何を!?」

「このままじゃ確実に追い付かれるわ。その前に彼女たちを!」

「ちょ、何言ってるんですか!」


確かに、テンゾウの言いたいことはわかる。隊長はテンゾウなのだから、わたしの独断で動いてはいけないだろう。しかし、緊急事態なのだから多目に見てほしい


「もうすぐそこまで大蛇丸が迫ってる。みんなを連れて木の葉に戻って!」

「でも、」

「わたしは大丈夫。きっと狙いは大名さまよ。だから、早く!」


わたしの剣幕に押されたのか、テンゾウはしぶしぶ頷くとその場を去っていった


「…カカシ先輩を呼んできます!それまで持ちこたえて下さいよ、なまえ先輩!」


なぜそこでカカシくんの名が出てくるんだと疑問に思ったが、この状況では深く考えている暇もなかった


「自分一人が残るなんて、随分と勇敢じゃない」

「おろち、まる…」

「久しぶりね、なまえ」









(わたしの背筋に冷や汗が流れた)






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