綱手さまにとってわたしは、飛んで火に入る夏の虫という感じだったのだろうか。そういえば、木の葉に帰ってきて七班に入れと言われたときも、人手が足りないと言っていたことを思い出す

結局のところ、本当にわたしには拒否権などなかったらしく強制的に長期任務につくことになった。ツーマンセルで行う任務らしいが、相方が誰か教えてもくれなかった。若干重いテンションで集合場所に向かうわたしに果たしてこの任務が務まるのか疑問である

ちなみに七班のみんなには綱手さまから説明してくれるらしいので、わたしからはなにも話していない。どんな風に説明されるのか不安ではあるが、わたし自身カカシくんには会いたくないので任せることにした


わたしが集合場所に到着すると、そこには既に誰かがいた。暗部のお面をつけているため、顔が見えないが彼はおそらくわたしの暗部時代の後輩だろう。きっとそうだ


「わたしの相方っていうのは、もしかしてテンゾウ?」


確信しているからこそ名指しにしたのだが、もし万が一間違っていたら恥ずかしいことこの上ない


「お久しぶりです、なまえ先輩」


おずおずと面を外す彼は、やはり暗部時代の後輩であった。わたしの早とちりじゃなくてよかった、そして相方がカカシくんじゃなくてよかったと心の底から安堵した


「確かカカシ先輩の班に配属されたんですよね?どうしてこの任務に?」

「…理由は聞かないで」

「あー、なるほど」


テンゾウは顎に手をあて、なにかを閃いたようににやにやとわたしに視線を向けてくる。なによ、テンゾウまで!わたしに秘術を食らわせられたいのかしら?


「とにかく!わたしは任務をしに来たのであって、世間話しに来たわけじゃないんだからね、分かった?」

「なまえ先輩も変わらないですね」

「どういう意味よ、それ」

「とりあえず今回の任務の隊長は俺なんで、文句言わず従って下さいね。なまえ先輩」

「…御意」


まったく生意気な後輩で困る。まあ確かに長らく暗部を離れていたわたしに隊長が任せられるとも最初から思ってなかったので、別に構わないのだが。とか言いつつ、少し不機嫌な声が出てしまうのは多目に見て頂きたいものだ







(不本意な長期任務)
(行く先は不安だらけ)





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