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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -









本当は認めたくなかった。わたしがカカシくんを好きだという事実を。暴露してしまえばわたしは、ミナト班に振り分けられて間もない頃からカカシくんが好きだった。でも、昔のカカシくんはそれはそれは頭が硬くて、色恋の話をしようものなら“忍失格”だの“そんな事話してる暇があるなら忍術の一つも覚えろ”だのそういう悪態ばかりつくようなやつだった

だからこそわたしは、その感情を隠してカカシくんを苦手だと思うように自分自身に暗示をかけていた

なのに。それは今、解き放たれてしまった。わたしのこの感情を受け止めてもらえるかもしれない、そう思ってしまった。今なら今のカカシくんなら


でももう、なにもかもが遅すぎる
この感情を伝えるにはもう、時間が経ちすぎてしまった。今更伝えたところでちゃんと届くような気がしない
だってわたしは十数年の間ずっと、カカシくんに苦手だと意思表示しすぎたから。だからきっとカカシくんもわたしを苦手だとかあるいは嫌いだとか思っているかもしれない


これからどんな風にカカシくんと接すればいいのだろう。たぶんわたしは、昨日までのわたしのように振る舞えない。子供じゃあるまいし、意識することもないのだが、溢れだした感情が止まることは、ない 







(決めた、わたし七班をやめる)






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