木の葉に帰ってきてから初めての非番だったわたしは、考えなければならないことが山積みではあったが、それらを全て放棄し繁華街へと赴いた。今日はいつもの忍服と違って、買ったきり一度も着ていなかったワンピースを着ているせいで完全にアウェイ状態だ
でも、そんなことをいちいち気にしていては生きていけないので、この際気にしないことにする

そして、日用品やら雑貨やらを見てまわり、そろそろ夕飯でも食べて帰ろうかと思い立ったとき、後ろから声をかけられた


「おい、お前なまえか?」


振り返るとそこには顎に髭を蓄えたくわえ煙草の男の人がいた


「アスマさん!」

「やっぱりなまえか。帰ってきたって噂にゃ聞いていたが、まさか本当だったとはな」

「はい。なかなか挨拶に行けなくてすみません」


アスマさんに言われなければ、すっかり忘れていた。本来なら上忍待機所に行かなければならないのに
みんなには修行に出る前も随分迷惑かけていたのにな…


「いや、別にいいけどな」


若干自分の出来の悪さに呆れていたのだが、アスマさんの言葉に少し救われた気がした

まだもう少し近況を話したかったが、あまり立ち話してはアスマさんに迷惑だろうと、さりげなく立ち去る台詞を口にしようかと考えていた時


「今から俺の部下たちと焼き肉に行くんだが、お前もどうだ?」

「え?」


思いがけないお誘いにわたしは心底驚いた


「でもあれか。そのワンピースに臭いがついちまうから駄目か」

「洋服よりもなによりも、アスマさんの部下に迷惑なんじゃ…」

「あいつらはそんなこと気にしないだろう。それになまえも知ってるやつらだ。まあ、無理にとは言わないけどな」

「いえ!ご一緒させていただきます!」


ここで断るのも微妙だし、なによりお誘いが純粋に嬉しかったし、わたしが知ってるアスマさんの部下って誰なのか気になるし、色んな思いが交錯して、わたしはOKの返事をした





(焼き肉なんて久しぶり!)



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