「はあ…」
なぜ、わたしが溜め息をついているかというと
一、会って早々またさよならとなってしまったから
二、第一七七支部までの道のりを歩いてい戻っているから
三、彼に知ったような口をきいてしまったから
さあどれでしょう
答え、それはすべてなのである
まず一から説明すると、結局のところわたしは自分のことばかり話して、彼のことを何一つ聞けず、さよならになってしまったことが非常に無念である(一方通行さんもよく黙って聞いていてくれたものだ)
そしてその二、先ほどテレポートを使いすぎて体力が半減してしまったのだ(これからなにが起こるかわかったもんじゃないので、不用意に使えない)
ほんとのところ、一番の原因はその三だったりする
一体わたしはなんてことを言っているんだ
あなたはその心にどんな闇を抱えているの?なんて知ったようなことを
出会ってたいして時間も経ってないようなやつにそんなこと言われたら、そりゃあもう迷惑に決まっているじゃないか
わたしってなんて空気の読めない女?
まったく、自分で自分が信じられない
でも、彼の心の闇が気になったのも事実で…
それを消してあげたいだなんて思ってしまったりもした
「…ってまた迷惑なことを…」
ああ、それではわたしは一体どうしたらいいの?
一応、彼のもとにわたしの連絡先を置いてはきたものの、きっと連絡なんて来ないんだろうな、と落胆
「きゃっ、」
絶賛憂鬱なわたしの身体に予想だにしない衝撃
「く、黒子…一体どこから」
「なまえお姉さまああああっ!遅いじゃありませんか!黒子は黒子は心配いたしましたのよ!?」
「え?えーと…ごめんね」
過度なまでのスキンシップをしてくる後輩黒子の頭を撫でる
わたしを心配してくれるなんて、ほんとつくづくいい後輩をもったものだとおもう(少しばかり性格に難ありなのがたまに傷なのだが)
「いままでなにをしてらしたんですの?」
「途中でたまたま友達に会って…それでちょっと」
「ま、まさかなまえお姉さま…男ですの!?そういえば、先ほどからお姉さまから嗅いだことのない匂いが…」
くんっくくん、そんな効果音が付きそうな動きでわたしの身体を嗅ぎまわる黒子
それなんて変態行為?
「これは間違いありませんわ、殿方の匂いですの!」
「え?えーと…」
「わたくしが抱きつく前のなまえお姉さまのお顔を思い返してみるとやはり…」
「いやあの、黒子?」
がんがん地面におでこを打ち付ける黒子はもう止められないほどに爆走中だ
「なまえお姉さまが恋だなんて、黒子は黒子はああああっ」
より激しく地面におでこを打ち付ける黒子
「あのちょっと待って!わたしまだ全然なにも言ってないし…それよりおでこ大丈夫なの?というか恋って…」
恋?わたしが彼に?
いやないないないない!
そんなのでは決してない
確かに彼は気になる存在ではあるが、きっとそういう感情ではない断じて
第一、
「…そんな迷惑なこと」
「お姉さま!それは本気で言ってますの!?」
いつの間にか復活してきた黒子に今度は肩を掴まれる
というか、あれだけ地面におでこを打ち付けてたのに無傷ってどういうことなの黒子
「なまえお姉さまに好かれて嫌な人間がいるとでも!?」
「え?いやあの、言っている意味がよくわからないんだけど…」
「そんな人間いるはずありませんわ!いたとしてもこの黒子が叩きのめして差し上げますの!」
黒子はわたしの肩を掴んだまま揺さぶる
少し加減してくれないとわたし気持ち悪くなっちゃうよ
「ところでその殿方とはどなたですのっ!?」
「ねえ、ちょっとわたしの話聞いてる?」
「最近は美琴お姉さまもなにやら変なですし…黒子は一体どうしたらっ…」
きっとわたしの話なんか聞いていない黒子はぶつぶつとまだなにか言っている
「もう、黒子!違うの、だから落ち着いて」
これ以上はほんとに収拾がつかなくなってしまうので、強制終了させるべくわたしは黒子を抱きしめる(とりあえず動きを止めないことにはわたしの身体がどうにかなってしまうので)
「お姉さまが…なまえお姉さまがわたくしを抱きしめていらっしゃる…!なまえお姉さまがわたくしを?も、もしかしてそういうことですの?お姉さま!黒子も同じ気持ちですのよ!」
って強制終了させるどころか、エスカレートしてない?
というか、黒子のなかではどんな解釈が行われたの?
なんといいますか…
(どうしてこうなった?)
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