なぜ、いまのわたしがこの暑いなかわざわざ歩いてコンビニまで向かっているかというと


街を見回りしたいからではなく(多少問題あるけどスルー!)、いまの能力がテレポートじゃないからではなく(今朝ちゃっかり黒子のをコピーさせて頂いた)、ただ単に演算が大変だからである(特にたいした理由じゃなくてもスルー!)


テレポートを使うときだけは、異常に大変で、集中力も体力使うから疲労感が半端じゃない

黒子ってば、よく使いこなせてるなあと尊敬


「それにしても暑すぎる…」


おもわず独り言を言ってしまうほど、今日の気候は快晴で気温も高い

科学が発達してるなら、気温くらいコントロールしてくれたらいいのに

一年中快適に過ごせたら素敵だとおもわない?

なんて馬鹿なことを考えていると、前方200メートルほど先に見知った白い後ろ姿が見えた


わたしは貴重な一回を使い、彼の後ろ姿にテレポートする


「一方通行さん!」


しーん
まさにそんな効果音だったことでしょう
またしても彼に無視されてしまった

もしや彼は身体のまわりにバリアでも張っているのだろうか

…ありえそう

しかし、後ろが駄目なら前から行けば良いだけのこと
いくらバリアを張っていようと、いくらなんでも前から話しかければなにか返答が返ってくるだろう


あれだけ大事に温存しておいたテレポートをフルに使って彼の目の前に移動する


「…!」

「もう。無視しないで下さいよ、一方通行さん!」

「テメェ…なンの用だ」


明らかに迷惑そうな彼の顔
しかしわたしにはまったく関係ない
だってお話したいんだもん


「特に用はないですけど…見かけたから」

「帰れ」

「え…ひどい!」


そんなあからさまに嫌そうな顔しなくても…っていうほど、彼の眉間にはシワが寄っている


「つーか、なンで着いてくンですかァ?ストーカーかァ、テメェは」

「もしかして一方通行さん、コンビニ行くんですか?よければご一緒しませんか!」

「いや人の話聞けよ、みょうじさンよォ」

「あれ、名前覚えててくれたんですか?わたし感激ですー」

「いやだから聞けっつってンだろォが」


一方通行さんはなにか言ってるけど、関係ない
まさか名前を覚えててくれたなんて奇跡的すぎる
そしてなぜか嬉しすぎる!


「きっとここで会ったのもなにかの縁です!さあ、行きましょう」

「ホントになンなンですかァ」


わたしは勢い余って、一方通行さんの手を握ろうとする…が、案の定反射されてしまう


「反射するなんてずるい!」

「テメェの相手してるほど俺は暇じゃねェんだよ」

「これが噂のつんでれ?」

「そうかァ、そんなに殺されてェか」


どうしてそうなってしまうのか、些か疑問である
わたしは一方通行さんに殺されたくないし、むしろ仲良くしたいだけなのに


「あなたにわたしは殺せません!」

「あァ?」


別に煽るつもりで言ったのではなく、一方通行さんはほんとは優しいからそんなこと出来ませんよね、という意味だったのに、どうやら彼は違う意味で捉えてしまったようだ


「上等だ、みょうじさンよォ。俺とやり合おうなンざ、大した根性してるじゃねェか」

「え?いや、その、か勘違いですよ!


「今更命乞いですかァ?」

「いやだから!そうじゃなくて」


わたしの話を聞けえ!

なにかのスイッチが入ってしまった一方通行さんにはもはや、なにを言っても無駄のようだ

かといって、一方通行さんとの争いなんて絶対いやだし…一体どうすればよいのやら


今にも攻撃してきそうな勢いの一方通行さんにわたしは、溜め息をつくしかなかった





(問題はこの状況をどうやってひっくり返すか)
(わたしはただ仲良くしたいだけなのに)



prev - next

back