わたしは未だに一方通行に抱きしめられたまま微動だにすることが出来なかった。空間移動を使えば一発で離れられるのにそれをしなかったのは、彼を好きだから
もうこれは、うぬぼれちゃってもいいんだよね?
誰に確認するでもなく、頭のなかだけで思うとわたしも一方通行の背中に腕を回した。一方通行の鎖骨あたりに顔をうずめて、恥ずかしいけど正直に自分の気持ちを口にする
「…すき」
つぶやくようにいうと、一方通行の身体がぴくっと動いたのがなんとなくわかった。その反応がいい意味なのか悪い意味なのかわからなかったけど、構わずに話を続けた
一度溢れだした感情がとまることはない
「わたし、一方通行のことが好き。初めはただ友達だと思ってくれたらそれでいいって思ってた。でも、いつしか友達以上になりたいって思うようになった。欲張りだよね、わたし。ごめんね一方通行」
「…謝るンじゃねェよ。そンなの俺だって同じだ」
一方通行は言いながらわたしを抱きしめる腕をぎゅっとした。驚いて顔をあげると、少しだけ顔を赤らめた彼の赤い目と目があった
「欲張りだとか当たり前なンじゃねェの?人間なンだしよォ。…まァ、何が言いたいかっつーと俺もオマエが好きだってことだ」
「え?」
「…はァ。もう一回言わせる気ですかァ?なまえチャンは」
一方通行は呆れたように言うとわたしの肩口に顔をうずめた。一方通行の息づかいがもっと至近距離で感じて心臓が高鳴ったのがわかった
「…好きだ、なまえ」
「嬉しい。わたしも好き」
自然とわたしと一方通行の唇がふれ合った
(これが幸せじゃないとしたら一体なにを幸せと呼べばいいのだろう)
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