なんの前触れもなく突然鳴り響く携帯

ディスプレイを見ると、まったく知らない番号からで…
一体誰からだろうかと驚きながら通話ボタンを押す


「もしもし…?」

『俺だ』

「え、まさかの俺オレ詐欺?」

『はァ?馬鹿ですかァ?』


電話口の向こうはまさかの一方通行だった

初電話に何気に有頂天になってしまうわたし(なんて単純なのだろうか)


「一方通行!初電だね、どうしたの?」

『ちっと俺ンち来い。今すぐだ』

「え、どういうこ…」


わたしが聞くまでもなく電話は切られてしまった
今すぐ、彼はそう言ったがなにか急用なのだろうか

しかし考えていてもなにも始まらないので、とにかく一方通行の家に行くことにする(もちろんテレポートで)


「お邪魔します!」


一方通行の部屋に入ると、そこには以前見かけたようにソファーに寝そべる彼の姿があった


「一方通行?」


彼の様子をみる限り、特に急用ではなかったようだ

だったらなぜわたしを呼んだのだろうか
謎が深まるばかりである

なにも言わない一方通行に首を傾げていると、彼がこちらに向けて手のひらサイズの小振りな箱を投げてよこしてきた
わたしは反射的にそれを受け取る

自分の手に収まったそれを見ると、なにやら包装紙とリボンでラッピングされていた


「えーと…?」


わたしは訳がわからず、更に首を傾げる


「…この間の礼だ」

「え?」

「聞こえなかったのかァ?この間の礼だっつってンだろォが」


この間の礼?誰から誰へ?
一方通行からわたしへ?


「ええ!?」

「大声出すンじゃねェ」

「え、あ、ごめんなさい。えーと、開けてもいいの?」

「勝手にしろ」


そっぽを向く彼を尻目にわたしは、リボンを解くと綺麗に包装された箱を開く

これは所謂プレゼントなのだろうか
そうおもうと妙に心臓が高鳴ってうるさい


中身はネックレスだった
それもわたしのイニシャル付きの
それともう一つアルファベットがくっついていた


「A?もしかして、一方通行の?」


わたしが問い掛けても一方通行は返事をしない

これは図星?


「ねえ、一方通行。これ着けて!」

「あァ?なンで俺が…」

「だって自分じゃ着けられないもの」

「はァ…」


彼はため息をつくと、ソファーから立ち上がってこちらにやってくる

なんだかんだ言っても彼が優しいのをわたしは知っている


「ありがとう、一方通行!」

「どォいたしまして」


照れたように言う彼の首もとをふと見ると、いままさにわたしの首にかかろうとしているものとまったく同じものがぶら下がっていた

わたしのイニシャルと一方通行のイニシャル

そして、わたしにネックレスを着けるために近付いた一方通行の顔


どうしよう、心臓が破裂してしまいそうだ







(どんどん縮まるその距離に)
(MAX!highテンション!)



prev - next

back