わたしはいま、風紀委員のお仕事に没頭している

といっても、数日の手抜きで溜まりに溜まってしまった書類の整理なのだが


やってもやっても終わらない書類の山に若干目眩がする
しかし、すべて自分にまわってきたツケなので文句も言えない
ましてや、手伝ってもらうだなんて論外だ


「…一方通行に会いたいな」


思いがけない自分の独り言に驚いて、慌てて周りを見回すが、幸いいま第一七七支部にいるのはわたし一人だけだ


実は一人でいるのはあまり好きではなかったりするのだが、いまこの瞬間だけは有り難かった

でも、やっぱり寂しいのも事実で

とにかく書類整理を一刻もはやく終わらせようとひたすら手を動かす


「なまえお姉さま?まだいらっしゃいますの?」


今日はそろそろ限界かな、と思ったところで、我が後輩黒子がどこからかテレポートしてきた


「黒子、どうしたの?」

「お手伝いに参りましたわ」

「え、そんなの悪い…。これくらい一人でも全然平気よ!」


思いがけないお助けキャラの登場に焦る
そして、迷惑かけまいと出てしまった少々の嘘(本当は挫折しかけていたので)


「でしたらせめて休憩を。根詰めすぎるのもよくありませんの。ココアでもお飲みくださいな」

「ありがとう」


温かいココアの入ったわたし専用のマグカップを黒子から受け取り一口飲む

ほっとする
いつもいつも思うのだが、本当にわたしはいい後輩をもったとおもう

そしてなんだか助けてもらってばかりだな、と反省


「ねえ、黒子さ、人肌恋しいとおもったことある?」

「急にどうしましたの?ま、まさかなまえお姉さま…!」

「え?」


なにを妄想したのか黒子は卒倒している(聞く相手間違えたかも、反省)


「お姉さまにそんなお相手が…!黒子は黒子はああああ」

「え、いやあの、」


たしかに先程は一方通行を思い浮かべての発言だったが、なにも一般的な対象は異性だけじゃないはずだ


「ほら、異性だけに関わらず…ね?」

「わたくしはいつもなまえお姉さまの肌が恋しくて仕方ありませんの…。特に最近はあまりお話しができず…」

「黒子…」


急に大人しくなり、下を向いてもごもご言う黒子

言われてみれば、ここ最近、あの事件のこともありあまり構ってあげられなかったようにおもう

黒子も寂しい気持ちになっていたのか



「ごめんね、黒子」


わたしは黒子の頭を撫でる

後輩に心配かけてしまうわたしは先輩失格かな、と少し落ち込む

しかし、黒子はわたしのそんな気持ちなど吹き飛ばすような満面の笑みをくれた






(依然として書類は山積みのまま)
(だけど癒されたのでよしとしましょう!)



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