ふと目をあけると、視界がぼんやりする
あれ、わたしってばいままでなにをしていたんだっけ?
そして徐々に鮮明になってゆく記憶
確か一方通行の病室にきてそれで、ああ眠っちゃったんだっけ
「え!」
一方通行が目覚めるときに傍にいたいとか云々いっておいてなんて有り様だ
自分で自分に情けなくおもう
しかし、一方通行がまだ目覚めてなければなんの問題もない
わたしは僅かな希望を胸に一方通行の方をみる
だが、そんな希望も無惨に消えていった
「一方通行…!いつの間に起きてたの?というか起きていたなら声をかけてくれても…」
「声かけても起きなかったンはどこの誰だっけなァ?」
「え、うそ!?」
勝ち誇ったような一方通行にわたしは落胆する(むなしい、むなしすぎる…!)
ふと自分の右手をみてみると、一方通行の左手を握ったままで…
わたしは慌てて手を離す
「ご、ごめんなさい、わたし…手を…」
「別に握ったままでもいいだろォが」
離したはずの右手が再び掴まれる
「え?え?どういうこと?」
「ったく、うるせェな、少し黙ってろ」
そう言うや否や彼はそっぽを向いた
「…安心、すンだよ」
「え、かわいい!」
いつになくでれでれの一方通行が愛しくおもえて、つい頭を撫でてしまう
不機嫌な顔をしながらも嫌がる素振りのない一方通行
本当にどうしたのだろうか、彼は
いつものトゲがまったくないと言っても過言ではない
実験を中止させたいというおもいは、もしかしたらわたしだけなのかもしれないとおもっていたが、やはり一方通行にも解放されたい気持ちがあったに違いない
わたしの行動は間違ってなかった、そうおもうと肩の荷が降りる気がした
もし万が一、一方通行に迷惑だ、などと言われてしまった日にはそれこそブルーな日が続くことになっただろう
「ねえ、一方通行。助けるのが遅くなっちゃってごめんなさい」
「つーか、誰も助けろなんて言っちゃいねェ」
(それが照れ隠しだってことはもう、)
(とっくに気がついてるんだよ?)
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