先ほど出会った彼のことを考えながら、地図の場所に向かうわたし
学園都市第一位の最強で最恐で最凶の彼は、わたしには世間で言われているようなイメージにはおもえなかった
会って早々、さよならとなったのはとても残念ではあるが、きっと運がよければまた会えるだろうと前向きに考えることにする
そしてなにより、今は市民の安全の確保が大事だ
そうこうしているうちに、目的の路地へと辿り着いた
「風紀委員です!大人しく同行なさい…ってあれ?」
地図に印されている場所は確かに此処なのに、暴漢はいない
いや、いることはいるが、気を失って地面に倒れていたのだ
「…美琴?」
「あ、なまえじゃない」
「これ美琴が?というか襲われてたのって美琴なの?」
「そうだけど?」
しれっと言ってのける、我が親友、御坂美琴に若干頭が痛くなる
「もう…。また黒子に怒られるよ?」
「なまえお姉さまの言う通りですわよ、お姉さま!」
わたしどこからともなくテレポートしてきた黒子を一瞥する
「風紀委員のわたくしたちに任せておけばよいんですの。それがいやでしたら風紀委員にお入り下さいな」
「しょうがないじゃない。あんたたちがくる前に片付いちゃうんだから」
「いいですの?お姉さまは善良な一般人ですのよ?立場をわきまえ…」
「あー、はいはい。だったらもっと早くきなさいよね!」
美琴と黒子。この二人の言い合いが始まるとどうにも止められなくて、毎回困ってしまう
始まってしまった二人の言い合いを止めるには結局、この方法しかないのだ
「遅かったのはわたしだもん…ごめんね、美琴」
上目遣いでちょっと目を潤ませれば、ほら完璧
「ちょ、ちょっと!なんであんたが謝ってんのよ!」
「そ、そうですわよ、なまえお姉さま!」
あっという間に二人の言い合いは鎮まる
わたしは困るとよくこの方法を使わせて頂いている
「それじゃ、三人でなにか甘いものでも食べに行きましょうか!」
もう風紀委員のお仕事も終わりの時間だしね、そう続けるわたしに、美琴黒子の両者はきょとんとするのだった
(ちょっとなまえ!あんた泣いてたんじゃなかったの!?)
(そうですわよ、なまえお姉さま!)
(え、なんのこと?)
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