当麻さんに打ち明けてしまってから数日
まだ事態に変わりはなかった

“俺に任せとけ、なまえはもう動くな”

あの日の別れ際に彼はそう言っていたけど、だからといってわたしだってなにもせずにいたわけではない

いい方法が見つからなかっただけ

ただ一つ、方法があるとすれば…御坂美琴が一方通行との対極で一発で負けること
でもこんな方法は論外だ
もしそんなことになれば、絶対にみんなが幸せになることはありえないのだから


これがわたしの限界
どんなに頑張っても、一人では解決出来ないのだ

そう結論づけたわたしは、とりあえず美琴の部屋に行くことにした


「美琴?」


部屋の前にたどり着くと、ノックをしながら遠慮がちに名前を呼ぶ


「なまえお姉さまですの?」

「えーと、黒子?」


しかし、返答は思っていた人物とは違い、風紀委員の後輩である彼女であった


「美琴、は…?」

「それがまだ帰ってませんの…。わたくしも心配しているのですけれど」

「まさか!」


まさか美琴はわたしが一度考えたことと同じことを…?
そんな、そんなのだめに決まってる
そんなことしたら、美琴は本当に死んでしまう


「ごめん、ありがとう黒子!」

「あ、あのっ!お姉さまっ?」


黒子の言葉を無視して、テレポートでわたしは街に出る(いまは一刻を争う事態なので許してほしい)

とにかく最優先すべきことはまず、美琴を探すことだ

すると、大きな橋に電撃が走った


「え…?」


あの電撃はきっと美琴のものだとわかった
だとすれば、あそこに一方通行や妹達が?

急がなくては、焦りながらもわたしは橋へとテレポートを試みる
その一瞬の間に心の準備もしておく

が、その場にいたのは美琴一人だけだった


「…美琴、泣いてるの…?」

「なまえ…!あいつが、あいつが!」


あいつ、とは一方通行?ミサカ?それとも…当麻さん?


「あいつは、私と戦わないって…無抵抗で…それで…」


あいつとは当麻さんのことだ
いまの美琴の話で大体の察しはついた



「それで…?」

「…実験を止めるって」


実験を止める?当麻さんが?
でも彼は…たしかレベル0
そんな当麻さんが一方通行とやりあえるはず…

でも彼には幻想殺しがある
幻想殺しなら一方通行の能力を無効化できる…?


「美琴!一方通行と当麻さんの居場所教えて」

「…だったら私も行く!」





(美琴の目は決意にみち溢れていた)



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