なにか方法があるはずだ
そうおもいながら、なにをするわけでもなく街を歩く
すると、昨夜出会ったばかりのツンツンヘアーの男の子を見かけたので声をかけてみることにする
「あ、当麻さん」
当麻さんは地面に転がった缶ジュースを拾っていた
「よ、なまえ」
「どうしたんですか、そのジュース」
「いや、これは色々あって御坂が…」
なるほど、大体の察しはついた
きっと美琴は、以前わたしが一方通行にしたのと同じことを当麻さんにもしてあげたのだろう
「でも、肝心の美琴は…?」
「ああ、あいつなら妹連れてどっかに行っちまった」
「…妹」
妹とは恐らく自分で自分のことをミサカと呼ぶ彼女達のことだろう
「必要ならば手を貸しますが…と、ミサカは提案します」
後方からの聞き覚えのある声に振り返る
「…ミサカ、どうして…」
「あー、妹の方か」
驚いているわたしを余所に当麻さんは呑気な声を出す(事情を知らなければ誰でもそうなるだろう)
「なまえ、お久し振りですね。と、ミサカは再会の嬉しさをあらわにします」
「そうね…」
「なまえは嬉しくないのですか?と、ミサカは問いかけます」
「そんなことないよ、会えて嬉しい」
おもわずわたしはミサカを抱き締める
しかし、このミサカの検体番号はいくつなのか、皆目検討もつかなかった(知ったところでまた絶望するに違いないが)
「あのー、お二人さん?」
自分の世界に入ってしまったわたしは、つい当麻さんのことを忘れてしまっていた
「あ、ごめんなさい」
名残惜しいながらもわたしはミサカから離れる
「ところで御坂妹、お前姉貴はどうしたんだ?さっき一緒に帰ったんだろ?」
「いえミサカはあちらから来ただけですが。と、指差します」
そう言いながらミサカは一緒に缶ジュースを拾い始める
「あ、悪いな」
「構いません。と、ミサカは間髪入れずに答えます」
ここにミサカがいるということはつまり、実験が今日も行われるということだろう
そうすればミサカは、一方通行は
そんなのはもう、考えるまでもなかった
「あ、おい、なまえ!?」
おもわずわたしは逃げ出してしまった
大量の缶ジュースはきっとミサカが運んでくれるので心配ないだろう
当麻さんやミサカがなにか言っていたが、わたしは振り返らずただひたすら走った
(どうしようともわたしは無力で)
(そんな自分に居たたまれなくなる)
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