「で、テメェはいつになったら帰るンだよ」
一方通行さんの部屋にあった雑誌を延々と読み続けていると、痺れを切らしたように彼は言った
「え…帰ってほしいんですか?でもわたしまだ帰りませんよ、だって居心地いいんだもん」
「テメェな…ちったァ俺の都合ってモンも考えろや」
すごく呆れたような顔をする彼(そんなに嫌なのか…)
「じゃあまず、そのテメェって呼び方やめてください!そしたら帰ってあげてもいいですよ」
「上から目線かよ、くそったれ」
「ほら早く!」
「はァ…いい加減にしろ、みょうじさンよォ」
彼にしては頑張ったのだろう、決してこっちを見ないながらもちゃんと苗字を呼んでくれた
でもわたしが呼んでほしいのは苗字じゃない
華、という名前のほうだ
「苗字は無効ですよ?」
「ったく、くっだらねェ」
「じゃあわたし帰りませんけどいいんですか?」
「…なまえ。…ほらこれで満足だろォが、さっさと帰れ!」
少々ずるい手を使ってしまったが、やっと名前を呼んでくれたのでよしとしよう(それにしてもそんなに帰ってほしかったのか…)
「はい、一方通行!」
わたしがさん付けなしで彼の呼び名を言うと驚いた顔をした彼と目があう
「これからはその呼び方で!わたしも敬語やめていこうとおもいますが、いいですか?」
「…勝手にしろ」
照れているのか、彼の顔は若干赤色(毎回おもうのだが、でれている一方通行はすごく可愛い!)
「じゃあ寮に戻ります。実はそろそろ門限が迫っていたりして」
「あァ、早く帰れ」
「ねえ、一方通行。あんまり危ないことしちゃだめだよ?わたしのこと、頼って。きっと助けになれるとおもう」
わたしは一方通行の返答など聞かずにテレポートで寮の部屋に戻る
…こんなことしか言えないなんて、ほんとにわたしは無力だ
(本当は彼がどこに出掛けるかなんて、)
(全部わかっているのに)
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