黒子が騒いだせいでファミレスから追い出されてしまったわたしたちは、道端で自己紹介となった
「えー、美琴お姉さま、こちらが先ほどお話した初春飾利さんですの」
黒子はかしこまったように飾利を美琴に紹介した
そして、どうやらその隣の女の子とは黒子も初対面だったようだ
「初めまして、初春飾利です!」
「どーもー、初めまして。初春のクラスメイトの佐天涙子でーす。なんだかよくわからないけどついてきちゃいましたー。ちなみにレベル0の無能力者でーす!」
佐天涙子ちゃん、か
飾利のお友達ならきっと彼女もいい子なのだろう
「初春さんに佐天さんか…私は御坂美琴。よろしくね!」
「初めまして、涙子ちゃん。わたしは飾利と同じ支部所属のみょうじなまえです。よろしくね」
美琴の自己紹介に飾利はなにやら目が輝いていた(やっと念願叶って美琴に会えたんだもんね)
涙子ちゃんはというと、なぜか面食らったような表情をしていた
「さ、いつまでもこんなところにいるのもあれだし、ゲーセンでも行きましょ!」
「いいね、それ!ぱーっと遊ぼ!」
美琴の提案にわたしが賛同すると、またしても涙子ちゃんは面食らった表情をした(今度は飾利や黒子までも)
「もう、お姉さま方ったら…。もっとご自身に相応しい趣味でもお持ちになったらいかがですの?お花ですとかお琴ですとか…」
「それの一体どこが私らしいってのよ。ねえ、なまえ?」
「まったくその通りね。それにそういう黒子はどうなの?だいぶ変態趣味のようだけど…」
「なまえお姉さままで!?ひどいですわ…!」
説教してくる黒子に仕返しをすれば、涙目になる彼女(どうせ嘘泣きだ)
「あは、うそうそ!」
「なまえお姉さまったら…」
「それより!黒子のペースに飾利も涙子ちゃんもついていけないみたいだよ?」
やや後ろをついてくる二人をみると、少し気まずそうな顔をしていた(特に涙子ちゃん)
「ほらほら!せっかく出会ったんだし、たくさんお話して仲良くなろう?」
明るく声をかけてみれば、二人は素直に頷く
飾利は飾利で憧れの美琴を目の前に相当緊張しているのだろう
涙子ちゃんはきっと、初対面の人ばかりなので余計そうなのだろう
ここはわたしが引っ張らなきゃ、先輩として!
なんて考えていると、誰かに衝突してしまった(後ろ向きに歩いていたのがいけなかった)(これじゃ先輩の面目丸つぶれだ…)
「きゃ、す、すみませ…って美琴?」
どうやらぶつかってしまった相手は美琴のようだった
当の美琴はというとチラシに釘付けで、わたしがぶつかったのにすら気が付いていないようだ
そのチラシがなんなのか気になったわたしは、後ろから覗き見る
「クレープ屋、らぶるん…?」
新しく出来たらしい。
そこにはopenと書かれていた
「あらあら、美琴お姉さま、クレープ屋にご興味が?それとも、もれなく貰えるプレゼントの方ですの?」
確かにそこにはゲコ太プレゼント!の文字も記載されていた
ゲコ太といえば、美琴が大好きなあの…?
「ばっ…なに言ってんのよ!?カエルよ!?両生類よ!?どこにこんなの貰って喜ぶ女の子が…」
「でもそれ、美琴の鞄にぶらさがってるじゃない」
わたしが指をさすと、黒子飾利涙子ちゃんの三人は声をころして笑いだした
「なまえっ…」
それによりわたしは、赤い顔をした美琴に睨まれることになった
(わたしってば、また空気の読めないことを…!)
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