「おめでとうございますの、なまえお姉さま美琴お姉さま!」


結果からいえば、身体検査の判定はわたしも美琴もいままで通りレベル5

よくよく考えてみれば、上がってしまったレベルが今更下がるはずもないのだ

こうなってしまった以上、わたしはわたししか出来ない方法で大切なひとたちを守ろう
そのために風紀委員に入ったっていうのに…

そんな大切なことさえ忘れていたわたしは情けない


「まあ、当然のことよねー。ね、なまえ?」

「え、あ、うん…そうね」

「ですわよねー!」


身体検査も終わり、約束していたとおりいまは美琴、黒子とともにわたしはファミレスにいる


「それにしても、わざわざプールの水を緩衝材にしなきゃ、まともに測定も出来ないなんて…私のより、なまえや黒子の能力の方が便利よねー」


なんて愚痴をこぼしながらテーブルに顔を突っ伏す美琴


「隣の芝生は青く見えるんですのよ」

「わたしは逆に美琴の能力がうらやましいよ。だからこそ、美琴や黒子の能力をコピーさせてもらってるしね」


ほんと、わたしのような薄気味悪い能力なんかじゃなくて、美琴や黒子のようなちゃんとした能力はうらやましい


わたしはただ他人の能力を借りているにすぎないもの


「それに、お姉さま方は常盤台のダブルエース。堂々と胸を張っていればよいのですわ!」


ダブルエース、か
美琴はともかく、わたしはエースの名に相応しくないのでは?


「まあ、もっとも…美琴お姉さまの場合、張るというには自己主張の足りないつつましい胸ですけ・ど」


黒子は言葉の後半あたりでは既に美琴の胸を触っていた

ねえ、それなんて変態行為?


なんて考えている間に美琴はお得意の電撃で黒子を撃退していた


「ただのスキンシップですのにー。ねえ、なまえお姉さま?」


先ほどから黒子はわたしの上半身にまとわりついている
どうやら今度はわたしが標的にされたらしい


「ちょっと過度すぎるけどね」

「もう、なまえは黒子に甘いんだから」

「一応わたしは美琴にも甘いつもりだよ?」

「なっ…」


わたしの言葉を聞くと美琴は顔を赤くしてそっぽ向いてしまった(わたしまた余計なこと言っちゃった?)


「まあ!まあまあ!なまえお姉さま攻めの美琴お姉さま受け…これはこれで、いけますのっ!」


なにやら訳のわからないことを口走る黒子に美琴が黙っているはずもなく…
黒子にはげんこつがプレゼントされた


「まったく黒子も懲りないんだから…」


わたしは黒子の頭に出来ているたんこぶをそっと撫でる


「いけませんわ!本来の目的を忘れるところでしたの」


なにやら思い立ったように顔をあげる黒子

相変わらず復活がはやい…(色んな意味で尊敬!)


「本来の目的?」

「ええ、美琴お姉さまのファンの子が是非お会いしたいと…」

「私のファン?」


ファンと聞いて怪訝そうな顔をする美琴

確かに美琴のファンは多い
そのことに悪い気はしないだろう
しかし、美琴が怪訝な顔をするのには、その子たちの立ち振舞いに原因があるのだろう


「わたくしとなまえお姉さまと同じ風紀委員第一七七支部でアシストをしてくれている子ですの」

「あ、飾利のこと?そういえばあの子、ずっと美琴に会いたがっていたもんね」


確かに飾利はお嬢さまというものにすごく憧れを抱いているのは知っていたし(わたしと初めて会ったときもそりゃあすごかった)、美琴と会えることになったと喜んでいたのを見かけたのも記憶に新しい

しかし今日がその日だったとは


「美琴お姉さまのファンが素行がよろしくなく、困っていらっしゃるのは知っていますわ。しかし、初春は分別をわきまえた大人しい子…心配いりませんわ」

「わたしも保証する。飾利はいい子だよ」

「…黒子となまえの知り合いじゃ仕方ない、か」


わたしと黒子の説得にあまり乗り気ではないものの、美琴はあっさり了承してくれた(もっと嫌がるかとおもったけど)


「美琴お姉さまっ!そ、そんなに黒子のことを!?」


また黒子が爆走しそうな予感がしてならない


「黒子は黒子は!どうにかなってしまいそうですのっ」


そんな悪い予感は見事的中し、爆走した黒子はまたしても美琴に抱きついた



「はあ…」


わたしは溜め息をつきながらなんとなく外を見ると、驚いた顔の飾利と同じく驚いた顔をした髪の長い女の子と目があった







(ねえ、それなんてお約束?)



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